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柏の葉IoTハッカソン、LPWAを使った災害・環境対策アイデアが登場

奥野 大児(ライター/ブロガー)
2018年2月27日

広域をカバーするLoRaWanを活かす今後の展開に期待

 すべての表彰後に、柏の葉アーバンデザインセンター センター長の出口 敦 氏が総評を述べた。

 「今回の提案は、安価・簡単に作れる、使いこなせる、集めたデータをオープンにできる、という意識が共通していた。大学や大企業にはない考えだ。今日のアイデアが、全国のまちづくりに活かされていくのではないだろうか。
 50年前の大災害といえば火災だった。しかし今は、火災報知器やガスセンサー、スプリンクラーがあり火災については安全度が上がっている。代わって近頃の災害テーマは、水害や土砂災害だ。それらをどう防御していくかを考えれば、常に環境をモニタリングし、データを取得していかなければならない。そのためにはLoRaWANを使ったデータ収集が大切だ」

 柏の葉IoTハッカソンは、今回が初めての開催。一般的なハッカソンイベントなどと比べ、運営形態がこなれてない点もあったようだ。だが、本ハッカソンの実施に伴って敷設された、つくばエクスプレス沿線のLoRaWAN環境は、広域をカバーするIoTネットワークとしてはまれな環境だ。これを活かした、さらなる研究開発やハッカソンが開かれることを期待したい。

 ちなみに、今回のハッカソンの全受賞者は表1の通りである。

表1:「柏の葉IoTハッカソン」の受賞者一覧
賞名受賞者タイトル概要
最優秀賞下川 典子地域 IoT 実装を推進する教育 x 避難所用モデルの提案災害時の避難所の水・食料不足、電気、トイレ、湿温度管理、運営側の人手不足、収容人数過多などの状況を可視化し、避難所運営をサポートする IoT のエンドデバイスを開発。柏市内の各避難所の資材や、運営状況をリ アルタイムでデータ収集しネットに公開することで、物資やボランティアの適切な配分につなげてる。エンドデバイスの制作は市内学校の学生に依頼することで、プログラミングなどを体験できる教育の機会も提供する
優秀賞杉浦 隆幸・杉浦 弾アクアテラス環境モニタリング調整池に発生する藻の問題をIoTで定点観測することで効率的な水質管理を実現するアイデア。これまで調整池の水質管理は人が毎日行うなど非効率だった。IoTデバイスを池に常設することで、池の水温やpHを自動で測定し、遠隔でデータを管理し、効率的なグリーンマネジメントを提案する
IoTメディアラボラトリー賞やつIoV -Internet of Vegetation-植物に電極を取り付け、植物の活動状態のデータを蓄積し、気象データなど外部データと関連を付けながら、農業における制御や、土砂災害・地震などの自然災害の予測、植生管理などを目指す
ウイングアーク 1st 賞MCC あめみずマップチーム安価に多地点の道路の冠水を検知するシステムエリア内に複数のIoTデバイスを設置し、冠水を感知する提案。デバイスを常設することで市内の冠水の発生をいち早く把握し、交通規制やその後のスムーズな対応を実現する
ウフル賞Amish 山田 哲也観光都市農園への活用小区画の田畑を貸出し、各区画にIoTデバイスを設置。遠隔で温度や日照量、水分量を把握しながら効率的な管理を実現し、自宅から離れた農地での農作物の育成を可能にし、都市住民に農業体験を提案する
技術賞須田 浩史身近な不便をLPWAで解消「パパ!ポスト見てきて」家の中でもポストへの投函を把握できる IoT デバイス
小舘 直人・小柳 昌生手賀沼レンタルサイクルの提案利用者の走行内容を把握できるレンタサイクル
杉浦 勇一GPS 位置データ転送のための圧縮方式低容量の IoT デバイスでも多くのデータ転送を可能にする方式
チョットガン待機タクシー管理システムタクシープール内での渋滞を回避するために、プール内の空き情報をタクシーに伝達
高町 咲衣(IoT女子さき)タクシープールについてタクシーに IoT デバイスを設置し、タクシーを複数の停留所に誘導し交通渋滞を緩和
アイデア賞高石田地域コミュニティと防災無線を兼ねた市営放送の提案高齢者向けの、テレビに接続するだけの防災無線
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