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兵庫県と神戸市ら、グローバルで闘える関西圏発のイノベーションを支援へ

野々下 裕子(ITジャーナリスト)
2019年12月26日

兵庫県と神戸市のリソースを最大限に活用。

 兵庫県と神戸市はこれまでも、地域の活性化や街の持続的な成長を実現するため、起業や先端技術分野の研究開発型ベンチャーの支援、革新的テクノロジーでイノベーションを創出するスタートアップの育成・集積に、協力して取り組んできた。コンソーシアムでは、兵庫県と神戸市の双方が持つリソースやポテンシャルを最大限に活用する。

 たとえば、兵庫県が実施してきたスタートアップ支援策としては、支援拠点の「起業プラザひょうご」や、スタートアップの中核的存在となるIT企業を「ITカリスマ」と呼び2018年からU/Iターンを含めた誘致に力を入れている(写真3)。「ひょうご・神戸チャレンジマーケット」では、ビジネスプランを発表した300社のうち6割にあたる180社が販路開拓や資金提供のマッチングに成功したという。

写真3:兵庫県は、資金調達や貸付、ファンドなど資金面の支援を充実させている

 起業プラザひょうごは、間もなく移転するため、そのタイミングで機能強化を図り、ネットワーク力を活かした事業連携や投資家の紹介を強めるとしている。その他のコワーキングスペース支援では神戸市と連携し、ハードウェアとソフトウェアの両方で支援する。

 一方の神戸市も、さまざまな起業支援に時期から取り組んでいる。「500 KOBE ACCELERATOR500 KOBE」と「アーバンイノベーション神戸」の2つが中心だ。前者は、日本で初めて自治体として連携し今期で4年目を迎えるグローバルなアクセラレーションプログラム。後者は行政の社会課題を率直に公開して解決策を公募し、市職員がスタートアップと共に解決するプログラムである(写真4)。

写真4:「アーバンイノベーション神戸」では神戸市職員がスタートアップと連携する

 神戸医療産業都市では、ヘルステックに特化し、専門的技術を施設を含めて提供している(写真5)。2020年夏には、国連機関であるUNOPSと「グローバル・イノベーション・センター(GIC)」の開設も予定している。最先端テクノロジーを活用してSDGs(持続可能な開発目標)に関する課題解決を目指す。

写真5:神戸医療産業都市はヘルステック特化型プログラムを提供

 なおコンソーシアムは活動内容として、「スタートアップ・エコシステムの構築に向けた取り組みと拠点都市形成に向けた活動」を設置要綱に挙げる。「支援施策の情報集約と共有並びに国内外への発信。その他、企業化の育成と支援に関するものが含まれる」ともする。ただ、2019年12月25日の設立総会では、具体的な内容は発表されなかった。本格的な始動は年明けからになりそうだ。