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北海道から沖縄まで地銀4行が連携したアイデアコンテスト、勝者は介護支援サービスに

「X-Tech Innovation 2019」グランプリファイナルより

水野 智之(X-Techライター)
2020年3月13日
「X-Tech Innovation 2019」の決勝大会の参加者ら

北海道銀行、七十七銀行、ふくおかフィナンシャルグループ、沖縄銀行の4地銀が共催した「X-Tech Innovation 2019」は、独創的な新サービスのアイデアを競うコンテスト。各行が拠点を置く北海道、東北、九州、沖縄の各地区大会の勝者が東京でのグランプリファイナルに参加した。最優秀賞は、介護現場の問題解決を図るZ-Worksの「IoT×クラウドAIによる介護支援サービス」だった。

 「X-Tech Innovation」はデジタル技術を活用したサービスのアイデアをコンテスト形式で審査するイベント。独創的なアイデアをもつスタートアップ企業と銀行など大手企業とのマッチングや、それによるビジネス推進、地域経済の活性化への貢献を目指している。

 「同2019」のグランプリファイナルが東京・八重洲にあるコワーキング拠点「DIAGONAL RUN TOKYO(ダイアゴナル ラン トーキョー)」で2020年1月15日に開かれた。開会挨拶に立った北海道銀行の執行役員で副営業部門長営業推進担当 兼 コンサルティング営業部長の大西 幸哉 氏は「少子高齢化、労働者不足、事業継承者不足といった地域の課題解決に、新たなデジタル技術が役立つ」との期待を語った。

全国から選出された8社のスタートアップが競う

 書類による1次選考と面談による2次選考を経て、最終選考に進出したのは、北海道地区12社、東北地区12社、九州地区12社社、沖縄地区10社の46社。それぞれが4地区の最終選考会に臨み、そこから8社が東京・八重洲のDIAGONAL RUN TOKYOで開催された決勝大会に進出した(表1)。

表1:「X-Tech Innovation 2019」グランプリファイナルの進出企業(登壇順)
会社名受賞地区サービス名サービス内容/アイデア
Z-Works沖縄地区IoT×クラウドAIによる介護予防・自立支援・健康寿命延伸サービス介護施設向けの支援システムを提供。居室内などに設置したセンサーで収集したデータをクラウドAIで解析して異常を判断し、重大事故を未然に防止する。スタッフの負荷を軽減し離職防止にもつなげる
スペースリー北海道地区どこでもかんたんVR研修360度カメラで撮影した写真や動画をクラウドにアップロードし、VR(仮想現実)を活用した直感的な研修コンテンツを制作可能にする
seak九州地区農業プラットフォーム「LEAP」農地開拓・資金確保・設備投資・栽培・販売という農業経営の全ステップを一括で支援するプラットフォームを提供する
Sportip東北地区指導者の指導を効率化・アップデートするアシスタントAIAIを活用した動作の解析で、フィットネス指導の効率化を図る。動作や指導履歴を蓄積することで顧客の満足度を高めると同時に、トレーナーの負荷軽減とコスト削減を目指す
クレオフーガ九州地区「音楽の地産地消」で地域を盛り上げる店舗向け音楽配信プラットフォーム地元ミュージシャンの楽曲を集めたプレイリストを作成し、飲食店・美容院・小売店などの店舗BGM用として音楽を低価格で配信する
ティ・アイ・エル北海道地区生活者と事業者双方に安心と安全を提供するAIボイスレコーダー「RECORis」顧客と対面する現場でやりとりの音声をテキスト保存する。あらかじめ設定された語句をAIが検知するとオペレーションセンターへ自動通報し、トラブル発生を未然に防止する
OKTコミュニケーションズ沖縄地区月額600円でお酒が2杯飲める「AWAPASS」アプリ会員は毎日2杯のドリンクを無料で飲めるサービス。飲食店でのお酒のサンプリングや、お酒の消費に関するマーケティング調査も可能にする
aiforce solutions東北地区「AMATERAS RAY」で実現する誰でも簡単AIミライ予測機械学習によるデータ分析を自動実行して、AIモデルを構築する。これにより専門家以外の誰でも簡単にAIを使った予測が可能になり、業務生産性が向上する

 決勝大会は、1社あたり持ち時間7分のピッチ形式でアイデアの内容をプレゼンテーション。その後に審査員からの質疑応答を受ける形式で進められた。日本各地のスタートアップ企業が、日常生活にイノベーションを起こそうと開発中のサービスを続々と披露した。

 審査員は、北海道銀行の大西氏のほか、七十七銀行 常務取締役の菅原 亨 氏、ふくおかフィナンシャルグループ取締役執行役員の横田 浩二 氏、沖縄銀行 常務取締役の伊波 一也 氏、森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士の堀 天子 氏、デロイトトーマツベンチャーサポート Head of Asia Regionの大平 貴久 氏が務めた(写真1)。

写真1:プレゼンテーションを審査する審査員