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神戸市、食品ロス削減に向けフードシェアの「TABETE」と連携
神戸市が食品ロスを削減するために、フードシェアリングサービス「TABETE」を展開するコークッキングと連携する。売れ残って破棄の対象になる食品を値引きしネット上で一般消費者とマッチングを図る。まず神戸市民に馴染みの深いパン事業者がアンバサダーとして参加する。サービス展開のほかセミナーやビジネスコンテストなども開催し市民の行動意識を変えることを目指すという。
神戸市はフードシェアリングサービス「TABETE」を展開するコークッキングと「食品ロス削減と持続可能なフードシェアリングに関する事業連携協定」を締結し、神戸市役所で3月24日、締結式を開いた(写真1)。実施期間は2020年4月1日から2022年3月31日までの2年間を予定する。
SDGs(持続可能な開発目標)の推進に力を入れる神戸市は、「経済(エコノミー)にも環境(エコロジー)にも貢献する真のシェアエコシティを目指す」とし、地域課題の解決や街の利便性向上につながるサービスの実証実験を地元企業やスタートアップらと共同で取り組んでいる。
第1弾として2020年2月17日に、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を手がけるNature Innovation Groupと阪神電気鉄道が連携し、関西で初めてアイカサを投入することを発表したところ。
アイカサは、ICチップを搭載する傘を、スマホアプリを使って1日70円、月額だと620円で利用できるサービス(関連記事)。神戸市では、市内と阪神電鉄の駅など計80カ所に専用スタンドを設置し、2020年4月中旬から関西初のサービスとして開始する予定だ。
コークッキングとの事業連携協定は、エコシティに向けた連携協定の第2弾。 同協定には賛同する神戸のパン事業者3社がアンバサダーとして活動を支援する。アンバサダーはTABETEのサービスを利用し、ビジネスと両立できるフードシェアリングの仕組みを実践し、検証結果を他の食品関係事業者と共有するのが役割だ。
締結式に出席した神戸市長の久元 喜造 氏は、パン事業者がアンバサダーに就く理由を「日本の食品ロスは年間合計で643万トンであり、世界の食料援助量の1.7倍にもなっている。中でもパン事業者は、業界全体として強い問題意識を持っている」と説明する。
実際、TABETEの出品数でもパンは全体のほぼ半数にあたる48.7%を占めている(写真)。店頭に並べて販売するのが基本であり100%売り切るのが難しい営業スタイルだからだ。
そのうえで久元氏は「パンは家庭の支出も多いため、市民に食品ロスに対する意識を高めてもらい、小規模店舗では難しいフードシェアリングの取り組みを支援する。TABETEはスマホアプリを使うサービスなため若い人たちに活動が広がることを期待する」と語る。
コークッキングの川越一磨CEOも、「日本の食品廃棄量は世界で6番目に多く、個人の消費行動が変わらなければ課題解決につながらない。まずは神戸市民の生活に浸透し、毎日でも購入されるパン業界と連携するところからフードシェアリングを推進したい」とした。