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サブスク事業を成長に導く3つのベストプラクティス、米Zuoraが自社サブスク基盤の利用実態調査から抽出

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2020年5月8日

サブスクリプション型ビジネスのためのマネジメント基盤を開発・提供する米Zuoraが、自社サービスの利用実態を調査し、成長企業が共通して取り組んでいるベストプラクティスを抽出した。急成長するサブスクモデルの成功法を同社チーフデータサイエンティストが2020年4月21日にオンラインで紹介した。

 米Zuoraは、サブスクリプション型ビジネスを展開するために必要なマネジメント基盤「Zuoraセントラルプラットフォーム」を提供する企業。同基盤では、発注から収益化までを自動化できるとしている。

 同社サービスを使ってサブスク事業を手がける企業数は700社を超える。FORTUNE100の19社のほか、自動車業界のトップメーカーや、大手新聞社・出版社、ハイテク分野のトップメーカーなどが含まれるという。

サブスク業界は8年間で378%成長

 今回Zuoraは、同社サービスを2年以上使用している顧客の利用状況を匿名化したうえで分析した。結果、サブスク型ビジネスは「過去8年間で378%の急成長を遂げた」(同社チーフデータサイエンティストのカール・ゴールド氏)。年間平均成長率は18%強だ。S&P500(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが選定する米500銘柄による指標)と米国小売業の年平均成長率3.7%に対し5倍の成長率を示している(図1)。

図1:サブスクリプション型ビジネスは急成長している(出所:米Zuora)

 この動きはアジア太平洋地域でも見られる。同地域の年間平均成長率は16.3%だった。主要国の株式指標における年間平均成長率は、オーストラリアが1.4%、ニュージーランドが5.7%、日本は4.1%であり、アジア太平洋地域においてもサブスクビジネスは大きく伸びている(図2)。

図2:アジア太平洋地域でもサブスク型ビジネスは伸びている(出所:米Zuora)

 ゴールド氏は、「サブスク企業は新型コロナウイルスにも強いことがわかった」とも話す。2020年3月時点で「サブスク企業の半数以上が新型コロナウイルスの影響は限定的だととらえており10社中9社が成長を続けている」という。

 ただし企業ごとにみると「成長度合いには大きな開きがある」とゴールド氏は明かす。たとえば、サブスク企業のトップ10%の年間収益率が88%なのに対し、下位10%ではマイナス24%と売り上げを落としている(図3)。「サブスク型でサービスを提供しているからといって必ずしも成功するわけではない」(ゴールド氏)わけだ。

図3:サブスク型ビジネスの成長度合いには大きな開きがある(出所:米Zuora)