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歯列矯正にもデジタル技術、3Dスキャンやオンライン相談アプリを投入するインビザライン・ジャパン

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2020年6月18日

歯列矯正に“黒船”が到来している。従来のワイヤーでなく、樹脂製マウスピースを用いるのが世界的な流れだ。さらに米アライン・テクノロジーが開発するマウスピース型矯正装置「インビザライン・システム」では、デジタル技術を使って個々人に合わせた矯正を可能にしている。同社の日本法人インビザライン・ジャパンが2020年6月9日に事業説明会を開催し、日本市場へのデジタルサービス投入を発表した。

 歯列矯正は、健康や容姿などの点で、いくつものメリットのありながら、なかなか踏み出せない治療の1つだ。理由はいくつかあるが、その代表格と言えるのが、長ければ数年にもなる矯正期間内に何度もクリニックを訪れることの煩雑さである。

 そうした中、デジタル技術を使って歯列矯正のハードルを下げ、業績を拡大させているのが米アライン・テクノロジーだ。マウスピース型矯正装置「インビザライン・システム」を展開する。

 米国で1997年に創業した同社は現在、南米を含めた米国と、欧州、中国やシンガポール、日本などの東アジアの3極100カ国以上で事業を展開。グローバルの売り上げは2019年に24億米ドルだった。

光学スキャナーで口腔内の状況を3次元モデルに

 インビザラインは、「アライナー」と呼ばれるカスタムメイドの透明な樹脂製マウスピースを使って矯正する施術法である。一般的なワイヤー矯正と比べ、存在が目立ちにくいことや、着脱が容易で食事などの際の苦労も少ないことなどが患者側のメリットとなる。

 さらにインビザラインでは、「矯正治療の高度化に向けて、さまざまなデジタルの仕組みやツールを一気通貫で取り揃えていることが特徴だ」と、アライン・テクノロジー 日本担当バイスプレジデント兼マネージングディレクターで、同社の日本法人インビザライン・ジャパンの代表取締役社長である松本 貴嗣 氏は強調する。

写真1:アライン・テクノロジー 日本担当バイスプレジデント 「ADAPT」アジア太平洋地域担当でありインビザライン・ジャパン 代表取締役社長の松本 貴嗣 氏

 たとえば、矯正治療を始めるに当たっては、歯列や噛み合わせ状況を把握するためにシリコンで歯型を採取する。対してインビザラインでは、光学スキャナー「iTero」を使ってデータを取得することで、より短期間かつ高精度に口腔内の状況を把握する(図1)。

図1:「インビザライン・システム」は、さまざまなデジタル技術を活用する

 インビザライン クリニカルスピーカー・アドバイザリーボードメンバで医療法人 恵明会 スーパースマイル国際矯正歯科 院長で矯正歯科医の賀久 浩生 氏は「iTeroのスキャンデータを基に、その場で現状から治療の必要性までを患者に説明できる。治療中の歯の移動推移も3次元モデルで視覚的に提示できる。治療について患者が適切な理解を得られれば、結果にも結び付きやすい」と話す。

写真2:インビザライン クリニカルスピーカー・アドバイザリーボードメンバ 医療法人 恵明会 スーパースマイル国際矯正歯科 院長・矯正歯科医の賀久 浩生 氏