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日本の「デジタル後進国」を明らかにした新型コロナ、ServiceNowが投入する職場復帰支援策の出番はいつに

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年6月25日

「新型コロナへの対応で日本が『デジタル後進国』であることが明らかになってしまった」——。こう指摘するのは、ワークフロー改善ツールを開発・販売する米ServiceNowの日本法人で執行役員社長を務める村瀬 将思 氏だ。その同社は、自粛解除後に従業員の職場復帰を支援するアプリケーションを投入する。2020年6月9日に開いた同アプリに関する記者会見で村瀬氏は、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みの現状と、これからを語った。

 米ServiceNowは、ワークフロー改善ツールの開発・販売会社。日本法人ServiceNow Japanの執行役員社長である村瀬 将思 氏は、新型コロナウイルスの影響について、「経済産業省が『DXレポート』で示唆した『2025年の崖』への懸念が、コロナによって、2025年よりも、早く現実のものになるだろう。企業のデジタル変革は“待ったなし”の状況にある」と指摘する(写真1)。

写真1:ServiceNow Japanの執行役員社長である村瀬 将思 氏

紙のデジタル化で満足してきた日本

 特に、新型コロナへの対応は「日本が『デジタル後進国』であることを明らかにしてしまった」と断言する。「たとえば、印鑑の捺印などが典型例だが、テレワークでは回らない業務があることが露呈した。政府や自治体の対応も、デジタルに対する成熟度の低さを示した格好だ」(同)

 その理由として村瀬氏は、「日本で“デジタル化”として実施されてきたことの多くは、書類をただ電子媒体にするだけの“デジタイゼーション”だったため」とする。メールに添付するためにデータを手入力し、受信側ではデータをまた紙に打ち出して確認したり別のシステムに手で入力し直したりする。結果として「ミスが起きるし手間も時間もかかる。業務はいっこうに効率化しない。これは、デジタル変革ではない」と村瀬氏は手厳しい。

 最低限目指すべきは、デジタイゼーションでなく“デジタライゼーション”だという。ServiceNowが提供する領域でいえば、「人と機械でやるべきことを仕分け、だれもが同じ情報をリアルタイムに参照し、ワークフローの中で更新しながら業務を進めていくこと」(村瀬氏)である(図1)。

図1:ServiceNowが指摘する「デジタライゼーション」の概要

 そのServiceNowは、企業のデジタル成熟度を4つの段階に分けている(図2)。

成熟度1 :手作業のレポート作成、分断されたデータの状態
成熟度2 :プロセスが定義され、定型作業は自動化されつつあるが、効率性を中心にしたデジタル化の段階
成熟度3 :ワークフローが確立され、プロセスの自動化とリアルタイムの分析が可能な段階
成熟度4 :個人のアクションに反応してマシンがプロセスを自動で実行する世界

図2:ServiceNowによるデジタル成熟度の4段階

 村瀬氏は、「日本企業の大半は成熟度1または2に止まっている。本格的な進化はこれからという段階だ。他の先進国は3以上、オーストラリアなどは非常に進んでいる」とする。成熟度4に向けてはServiceNowとしても「AI(人工知能)やマシンラーニングといった技術を使って業務を改善し新しい付加価値を出せる環境を目指す」(同)という。