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子供の歯みがき習慣化を支援するIoT歯ブラシ、ライオンがLOHACOで販売する理由

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2020年9月4日

歯磨きデータとLOHACOの購買データを連携

 1人ひとりに合わせるために、はみがきのおけいこは今回、アスクルが運営する通販サービス「LOHACO」でテストマーケティングを実施する。2020年8月25日から9月8日までは先行予約を受付、9月9日から販売する。

 LOHACOとの連携でライオンが期待するのはデータの活用だ。はみがきのおけいこが取得する歯磨き行動データに、アスクルが2019年5月から提供しているデータマーケティング支援サービス「LOHACO Insight Dive」のデータを組み合わせることで、子供の歯磨き状況に合わせた磨き方やオーラルケアグッズの提案などに取り組む(図2)。

図2:IoTによる歯磨きデータとLOHACOの購買データを連携しパーソナライズする

 たとえば、アプリでの点数アップのコツを通知したり、もっと頑張ってほしいというタイミングに歯ブラシの交換やデンタルリンスやフロスを提案したりすることが考えられるという。

 LOHACO Insight Diveは、消費財メーカーらが保有する顧客データやオウンドメディアのデータと、LOHACOでの購買・行動データを共通の項目で連携することで、LOHACOでの販売促進施策を実施したり、他の用途に利用したりが可能なデータ提供サービスである。

 アスクル LOHACO事業本部 副部長兼ECマーケティングディレクターの成松 岳志 氏は、「生活の中に課題があり、その課題を解決する製品をメーカーは世に送り出している。消費者の課題と作り手の思いが一致しているかの答え合わせとして購買データがある。今回のデータ連携により、はみがきのおけいこの普及に力添えできれば良いと思う」と語る。

 ライオンの横手氏も、「これまで当社ができなかった提案ができるようになる」と期待する。歯磨きに親子で取り組めば、保護者自身のオーラルケアに対する意識向上にもつながるだけに、「オーラルケア製品を見直すきっかけを提供していきたい」(横手氏)ともいう。

事業価値は売り上げでなく子供の歯磨き習慣の変化などで証明

 はみがきのおけいこの事前モニタリングでは、77%の子供が「3カ月飽きずに続けられた」とし、89%の保護者が「子供の成長を実感した」と回答したという。歯化学的にも、はみがきのおけいこを2週間利用すれば歯垢除去率が約2倍高まるというエビデンスも得られているとする。

 ライオン ヘルス&ホームケア事業本部 オーラルケア事業部 部長の浦尾 康弘氏は「子供の頃から正しい衛生習慣を身につけることは非常に大事だ。はみがきのおけいこは、子供1人ひとりにあった習慣化をサポートできる」と話す。

 アスクル マーチャンダイジング本部 LOHACO生活用品統括部 統括部長の平舘 孝浩 氏も「IoT歯ブラシを通して、歯磨きの行動データと購買データを連携することで、子供の正しい歯ブラシ習慣に貢献できれば幸いだ」と続ける。

写真2:「はみがきのおけいこ」発表会の登壇者。左から、アスクルのLOHACO事業本部 副部長兼ECマーケティングディレクターの成松 岳志 氏、LOHACO生活用品統括部 統括部長の平舘 孝浩 氏と、ライオンのオーラルケア事業部 部長の浦尾 康弘、オーラルケア事業部 クリニカブランドマネジャーの横手 弘宣 氏

 はみがきのおけいこの本体価格は1万1000円(税別)。1台に3つのIDを登録できる。売り上げなど数値的な目標は掲げず、子供の歯磨き習慣の変化などで事業的な意味を証明している。販路についてもLOHACOとの取り組みの中で検証を進め普及を図りたい考えだ。