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AI活用で米国に遅れる日本企業、求められるマインドシフト

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年9月7日

PwCジャパンは、同社が実施したAI(人工知能)への取り組みに関する企業調査の結果報告と新たに開設した「AI Lab」に関する記者説明会を2020年8月25日に開催した。登壇した同社シニア・アドバイザーのYann Bonduelle(ヤン ボンデュエル)氏は、日本企業がAI活用に向けて取り組むべき3つのポイントを挙げた。

 PwCジャパンが2020年3月に実施したのは『2020年AI予測調査 日本版』。同様の調査は米国でも2019年10月に実施されている。調査対象は、AI(人工知能)を導入済み、または検討中である企業の部長職以上で、日本のサンプルは320人、米国は1062人である。

 日米での調査結果の比較から浮かんできた日本企業のAIへの取り組みに関する考察を、PwCコンサルティング合同会社シニア・アドバイザーのYann Bonduelle(ヤン ボンデュエル)氏が、特徴的ないくつかのトピックを抜き出して説明した。

写真1:PwCコンサルティング合同会社シニア・アドバイザーのYann Bonduelle(ヤン ボンデュエル)氏

 まず「AIによる創造的破壊への準備ができているか」という問に対し「準備できている」との回答は、日本の50%に対し米国は82%と大きく上回った。逆に「準備ができていない」と答えた企業は、日本が38%で米国は15%だった(図1)。

図1:AIによる創造的破壊への準備が不足

 次に「AIが企業にどのような創造的破壊をもたらすのか」という質問に対し、「AIによって1つ以上の事業を破壊する」と答えた企業は、米国が35%だったが日本は半分以下の15%にとどまった(図2)。日本企業の危機感の薄さが目立つ結果だと言える。

図2:日本企業はAIがもたらす脅威への危機感が薄い

 こうした結果に対しボンデュエル氏は、「日本の調査は、新型コロナの影響が拡大していた2020年3月に実施したので、AIの重要性が強調されると予想していた。だが実際は、そうではなかった。日本政府が(デジタル技術を活用した新しい社会作りを目指す)『Society 5.0』などを推進しようとしているにもかかわらず、企業の姿勢が合致していないことには少し驚いた」と語る。

 なぜ日本企業のAIへの意識と取り組みに遅れが見られるのか。これについて、ボンデュエル氏は次のように述べる。

 「理由は3つあると考えている。1つは、日本の問題解決の手法が既知の経験を非常に重視する傾向があることだ。次に、日本は特に正確性を重視し導入検討のスピードが遅くなる場合があること。そして3つ目は、日本は失敗を許さない企業文化のために現場の社員が失敗を恐れる結果、イノベーションが進まないことである。これらは良く指摘されることだが、外国人の視点から見ても、そう感じざるを得ない」

 PwCコンサルティング パートナーの中山 裕之 氏パートナーも、「AIで課題が100%解決できるわけではないが、日本企業は『100%AIに置き換えられないと使えない』と考える傾向がある。仮に30%の置き換えでもAIで効率化が測れることに着眼点を持ってほしい」と、慎重になりすぎないことを提案する。

写真2:PwCコンサルティング合同会社 パートナーでPwC Japanグループ データ&アナリティクス リーダーAI Labリーダーの中山 裕之 氏