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データ活用に遅れを取る日本企業、背景にはテクノロジーの理解不足が

米Splunkのグローバル企業調査から

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年9月28日

データの重要性は認識していても、その活用は進んでいない——。そんな実態が、マシンデータの分析基盤を開発・販売する米Splunkの企業調査で明らかになった。その背景にはマネジャー層のテクノロジーへの理解不足がある。同社日本法人代表でエリアヴァイスプレジデントの福島 徹 氏が、調査結果の概要をオンライン記者説明会で2020年9月11日に説明した。

 米Splunkが実施したのは企業調査の『The Data Age Is Here. Are You Ready ?(データの時代に備える)』。米国、英国、オランダ、フランス、ドイツ、中国、日本、豪州の世界8カ国の企業で、データ収集や活用に関わるビジネス部門とIT部門の幹部とマネジャーの計2259人を対象に、2019年10月から2020年1月にかけて調査した。

 回答者はマネジャークラスがおよそ半数。残りは部長クラスと幹部クラスが4分の1ずつになっている。

写真:企業調査の『The Data Age Is Here. Are You Ready ?(データの時代に備える)』の結果を説明する米Splunk日本法人代表 エリアヴァイスプレジデント 福島 徹 氏

データの重要性は認識するが、対応に遅れ

 調査ではまず、企業にとってデータの価値について聞いている。データが「組織全体の成功、イノベーションに、セキュリティの点で極めて重要だ」と答えた企業は8割以上。当然のことながら企業はデータの重要性を認識している結果となった。

 だが、データ重要性は認識していても、その活用は進んでいないという実態も明らかになった。「新しいデータの波に対する準備ができている」と答えた企業は、全体の14%しかなく、86%は「準備ができていない」と答えた(図1)。

図1:データの時代に対する準備の度合い

 国別の違いも大きい。中国企業の83%が「準備済み」または「準備中」と答え、8カ国中最も準備が進んでいる結果になった(図2)。米Splunk日本法人代表 エリアヴァイスプレジデント 福島 徹 氏は「中国は今後のデータ増加量についても最も大きくなると答えており、全体的にデータの時代に対するセンシビリティが高い」と説明する。

図2:データの価値に対する認識の国別の違い

 なぜ、多くの企業で準備が進んでいないのか。その一因は「増え続けるデータ量にある」(福島氏)という。調査した企業の約3分の2で、「今後5年のうちに企業が所有するデータ量は現在の約5倍に増える」とみているのだ。

 業種別に見ると、金融機関の回答が5.7倍と最も高い。公共機関は3.5倍と開きがあった点も興味深い。「データ量の急激な増加に対応できず、データを持て余している実態が明らかになっている」(福島氏)

 今後のデータ量の増加だけでなく、すでに企業が所有するデータにも問題がある。66%のマネジャーが、自社が蓄積したデータの半分以上が未処理の「ダークデータ」だと回答している。

 今後5年でデータ量が5倍に増えるとすれば、ダークデータも5倍に増えてしまう怖れがある。多くの企業で、増え続けるデータに対して管理体制が追いついていないということが見て取れる。

データ時代のテクノロジーへの理解不足が明らかに

 今回の調査では、データを収集したり処理したりするための新しいテクノロジーに対して、企業の理解や導入が遅れていることもわかった。

 Splunkは今回、データの時代を牽引するキーテクノロジーとして、5G、AI(人工知能)/機械学習、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)、IoT(モノのインターネット)、ブロックチェーンの6つを設定。これらについて、企業の理解と活用の進捗度を個別に調査した。

 全体として、これら6つのテクノロジーを「ある程度理解している」と答えたマネジャーは42%にとどまった。

 これらのテクノロジーを実際に企業が利用しているかについては、さらに厳しい結果になった。最も導入が進んでいたIoTでも、わずか28%。ほとんどの企業で、テクノロジーへの期待は高いものの、実際の理解と利用は進んでいないことが明らかになった。