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三井不動産のコーポレートVC戦略、ベンチャー共創事業31VENTURESが85億円の新ファンド
三井不動産がスタートアップとのオープンイノベーション(共創)を加速する。ベンチャー共創事業「31VENTURES(サンイチベンチャーズ)」を介したスタートアップへの投資額を拡大。総額435億円は国内最大規模になる。グループの本業強化と事業領域の拡大を図るのが目的だ。
三井不動産のベンチャー共創事業「31VENTURES(サンイチベンチャーズ)」が、独立系VC(ベンチャーキャピタル)最大手のグローバル・ブレインと共同で、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の「31VENTURES Global Innovation Fund 2号(CVC2号)」の設立を2020年9月16日に発表した。
同社の執行役員でベンチャー共創事業部長に2020年4月に就任した金谷 篤実 氏は、「この5年間で国内外のネットワークを拡大し、スタートアップへの投資を実行してきた。実証実験やサービス導入などの事業連携も着実に進んでいる。今後も投資を継続・加速させるためにCVC2号を設立した」と話す(写真1)。
「顧客の価値観やニーズの多様化、コロナ禍による生活の変化により、不動産業に求められる役割も変化していく。スタートアップとグループとの共創の橋渡し役として、不動産業のオープンイノベーションを加速していく」と金谷氏は力を込める。
不動産のサービス化やスマートシティなどに投資
CVC2号で集中的に投資するテーマとしては、不動産に関するサービス事業全般を指すReal Estate as a Serviceと、デジタルトランスフォーメーション(DX)、スマートシティ、既存とは異なる新事業領域ビジネスの発掘の4つを挙げている(図1)。
2015年に設立したファンド1号(CVC1号)の投資額は総額50億円。CVC2号では運用額を85億円に増額した。新たに、モビリティ、宇宙、食品(フードテック)、農業(アグリテック)、エンターテインメントなどを重点領域に加えた15領域を対象に投資する。対象ステージは、アーリー期以降で運用期間は10年間だ。
運営に関しては、CVC1号に引き続き、グローバル・ブレインが共同運営で参加する。既存投資先を含めた追加出資も検討し、各社に対する事業連携を強める。31VENTURESは、グロースステージを対象に2018年に設立した「グロースI事業」で300億円を投資している。これに、CVC1号と同2号を合わせれば、スタートアップ投資事業の総額は435億円と国内最大級の規模になる。
三井不動産グループは今、街づくりを通した活動ポイントとして、持続可能な社会の構築の実現、テクノロジーを活用した不動産産業そのもののイノベーション、グローバルカンパニーへの進化の3つ掲げている。
そこでの31VENTURESは、三井不動産グループによる国内外の幅広い事業領域を活用し、スタートアップとの共創によって新産業の創造を推進するプラットフォームという位置付けで、2015年に設立された。資金、コミュニティ、サポートの3本柱でベンチャーの成長を加速し、時代に合わせたスピーディーな対応を目指している(図2)。