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テクノロジーの使いこなしが良い働き方を可能に、米ペガシステムズCTO

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年11月11日

”脳”での決定を全チャネルを通じて実行

 センター・アウトのビジネスロジックの構成要素において、企業の中心部に置くのがロジックを判断する“脳”となる部分である(図1)。これはAIやビジネスルール、あるいは電子メールやSNS、チャットなどを分析する機能かもしれない。脳での決定が全チャネルを通じて実行される。

図1:センター・アウトのアーキテクチャーにおける構成要素

 このときに必要な構成要素がプロセスオートメーションである。決定事項をスピーディーにやり取りするには、「ビジネスプロセスを細かな単位に区切り自動化する」(シューマン氏)。大量の定型業務にはRPAを導入し処理の効率を高める。

 これにケースマネジメントを加えることで、「意思決定と個々の業務プロセスを統合して進める」(シューマン氏)。各決定とプロセスの実行は完全に検証され、監査もできるため「結果を正しく判断できるようになる」(同)という。

 中央で組み立てたビジネスロジックを末端まで行き渡らせ、環境の急変にも企業全体を対応させるには、こうしたセンター・アウトの仕組みが必要だというのが、ペガの主張である。

災害対策中心だった日本はコロナ対応で遅れ

 ただ、新型コロナに対する準備状況において日本は、調査対象国の中で最も遅れていた。「準備ができている」との回答は8%に留まり、調査対象国中で唯一、1桁だった。「準備ができていない」との回答が33%あったが、これは他国の2倍に相当する。

 こうした開きがあることの理由をペガジャパン代表取締役社長の渡辺 信彦 氏は、こう説明する。

 「日本では過去10年を見ただけでも、東日本大震災をはじめ、台風や豪雨など甚大な自然災害が多数起きている。そのためBCP(事業継続計画)は災害対策が中心だったといえる。一方で、SARSなどの感染症では直接的な影響を受けてこなかったため、どう対処すれば良いのかという議論が進まなかったのだろう。加えて日本企業は、新技術の導入がなかなか本番に移行できないという課題もある」

写真2:ペガジャパン 代表取締役社長の渡辺 宣彦 氏

 今回の調査でも日本企業は、AIやBPM(ビジネスプロセス管理)などの活用状況では、ほとんどの国に後れを取る結果になった。ペガのローコード開発の仕組みは、新型コロナ対策のためのシステム開発でも世界各地で利用されたという。

 それだけに、「今後活用したい」「利用範囲を拡大していきたい」という対象としては上位に位置付けられている。一部には、「コロナ対応の公共機関のサービスに利用されているほか、ウィズコロナ時代に向けた企業のプロセス改革に対して、多数のプロジェクトが進行中だ」と渡辺氏は明かす。ローコード開発は日本でも拡大が進みそうである。