• News
  • サービス

テクノロジーの使いこなしが良い働き方を可能に、米ペガシステムズCTO

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年11月11日

コロナ禍の企業の状況とITの変革に関するグローバル調査の結果をローコード開発基盤を提供する米ペガシステムズの日本法人が2020年10月15日に発表した。同結果の概要を米ペガシステムズのCTO(最高技術責任)であるドン・シューマン氏が説明した。

 米ペガシステムズの調査は、世界の企業や組織に所属するIT部門のリーダーや従業員、計3000人を対象に2020年4月に実施したものである。

新型コロナがテクノロジーへの期待を高める

 同調査によれば、新型コロナウイルスのインパクトに対し、回答者の31%が「コロナに対して事前に準備ができていなかった」と答えた。84%が「今後同じような危機が来ることに備える必要がある」とし、76%は「IA(インテリジェントオートメーション)に関する投資を増やす必要がある」と回答している。

 ここでのIAをペガは、「業務プロセスと定型業務の自動化を組み合わせたテクノロジーの総称。AI(人工知能)やRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の活用を含み、ビジネスの全段階で自動化を進めるもの」(米本社CTO(最高技術責任) 兼 製品マーケティング担当バイスプレジデントでもあるドン・シューマン氏)と定義する。

写真1:米ペガシステムズCTO 兼 製品マーケティング担当バイスプレジデント ドン・シューマン氏

 今後について回答者の74%が、「コロナのような危機が再び起きれば、リモートで働くことが必要になる」と答え、「それへの備えとしてのIA分野への投資がさらに増える」と考えている。86%は「コロナによって働き方は今後5年間のうちに大きく変わる」と見ており、「テクノロジーに対する期待値はより大きくなる」と答えている。

 テクノロジーが企業の業務プロセスに、どのような変化をもたらすのか——。シューマン氏は、調査結果を基に以下の3つのポイントを挙げる。

 1つは、人間とテクノロジーが一緒に働くようになること。従業員の76%が「今後仕事の場でテクノロジーの使用が増える」ことに同意し、61%は「テクノロジーによって管理されることすら問題ない」と答えている。

 2つ目はシステム開発におけるローコード開発の拡大だ。ビジュアル化されたローコード開発ツールを用いれば、プログラマーでなくても業務プロセスを自動化できる。調査では82%が「ローコードを導入すべきだ」と答え、55%が、「全従業員が、それぞれの専門部署において、ローコードのスキルを身につける必要がある」とした。

 3つ目は、自動化により労働時間が削減され、余った時間で、よりクリエイティブな仕事や重要な判断に時間を使えるようになることだ。「人間がテクノロジーを使いこなせば、より良い働き方ができる」とシューマン氏は指摘する。

業務プロセスは中央と末端の連動が不可欠

 ただ、そうしたテクノロジーのメリットを享受するためには、「正しいビジネスアーキテクチャーが不可欠だ」(シューマン氏)とも言う。特にコロナ後のビジネスアーキテクチャーとしては「『センター・アウト』の思考が必要だ」(同)とする。

 センター・アウトとは、「ビジネスロジックを中心に置きながら、それを各チャネルや各システムに送る形」(シューマン氏)を指し、「持続性の高いアジャイルな組織が持つべき将来像」(同)である。

 ビジネスロジックについては、「顧客接点である末端で動かす形ではいけない。中心から考えていく必要がある」(シューマン氏)とする。例えばコンタクトセンターがにおいて、顧客の状況を全く把握せずに自動対応してしまうことは「チャネルごとの小さい部分にビジネスロジックを埋め込んでいるからだ」(同)と指摘する。

 しかしビジネスロジックは「バックオフィスの中心部分に置かれているだけでもダメだ」ともシューマン氏は言う。「従来の企業システムは複雑で脆弱性も持っている。そのため、今起きているような急速な変化についていけない」(同)ためだ。