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新型コロナで内向き思考が強まる日本のDX、JEITAの日米企業調査
米国のDXはコロナ後の事業拡大に向かう
DXに取り組む目的についても日米で大きな違いが出た。日本企業は「業務オペレーションの改善や改革」が4割以上とダントツ1位だったのに対して、米国企業は「新規事業/自社の取り組みの外販化」が1位、「新製品やサービスの開発/提供」が2位だった(図3)。
「米国企業のDXの目的は外向きで、事業拡大の方向にある。対して日本企業は内側を向いており、既存業務の収益改善にとどまっていることがはっきり表れている」と小堀氏は話す。馬場氏も、「日本企業はDXの目的を経営視点で新たにとらえ直し、ニューノーマルも見据えた形で経営変革を自らリードしていくことが重要だ」と考える。
さらに新型コロナの影響については「DXの予算や体制を拡大した」と「DXへの取り組みがストップした」が拮抗しており、事業とDXへの取り組みが一体化していないことが浮き彫りになった(図4)。米国企業では、新型コロナを受けて「DX予算や体制を拡大した」が3割を超え最も多く、デジタル化への意識が加速されているにも関わらずだ。
コロナ後に対しても、米国企業は「幅広い業務の領域に対して変化する」と答えるのに対し、日本企業は、「働き方の大きな変化が中心」とみる(図5)。「大きな変化は起きない」と答えた企業も約15%存在した。米国企業でそう答えた企業は、わずか1%である。
小堀氏は、「日本企業はコロナの影響をできるだけ小さくしようと考えている。対する米国企業はコロナを契機にビジネスを拡大する意欲がうかがえる。DXの実施状況を見れば現時点で日米に大きな差はないが、コロナ後に差が拡大する可能性がある」と予測する。
これら結果を踏まえて、馬場氏は日本企業にこう提言する。
「多くの日本企業はDXを目的ととらえており、施策も現状に対する対策や改善にとどまっている。コロナ後も、働き方改革が進むという手元を見た予測が中心だ。対して米国企業は、日本が考えているDXの段階を終えた企業が多く未来を向いている。日本企業は、ニューノーマルは、どうなるのかを描き、それに対してデジタル技術をどう活用していくかという視点を持つことが重要であり、それを経営主導、全社のビジネス変革として進めるべきだ」