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日本の金融機関のデータ活用が進まない理由、業界外データの活用促すオルタナティブデータ推進協議会
デジタルトランスフォーメーション(DX)の中核には社内外にある様々なデータの収集と活用が位置する。新しい製品/サービスの創出が目的だ。そうしたなか金融機関が業界外にあるデータの活用を促すための業界団体がオルタナティブデータ推進協議会である。2021年2月9日に設立され、2021年4月から活動を本格化させている。2021年5月に開かれた記者説明会からオルタナティブデータの現状を紹介する。
金融機関において、新しい金融商品/サービスの開発や、現行サービスの品質向上のためにデータを活用することは当然だろう。
だが、オルタナティブデータ推進協議会の事務局を務めるKPMGコンサルティングの東海林 正賢 氏は、「企業の業績などを予測するためのテクノロジーが普及し、費用さえ負担すれば、どの企業でも使えるようになった。このままでは、予想がみな同じになってしまう。他社が使っていない様々なデータを取り入れて差別化するしかない」と現状を明かす(写真1)。
テクノロジーの発展で利用できるデータも拡大
世の中に存在するデータを、(1)金融向けと非金融向け、(2)定型と非定型の2つの軸で分類したのが図1だ。従来、金融機関は金融サービスの提供に際しては、「金融向け、定型」エリアのデータを中心に意思決定がなされていた(図1)。
それが今、東海林氏が指摘するように、より多くのデータを活用したいというニーズが高まっている。例えば、小売業が持つ店舗でのPOS(販売時点情報管理)による売上データやカードの利用状況など、定型的だが非金融のデータを利用するなどだ。
今後はテクノロジーの発展によって、気象情報や衛星写真など、「非金融、非定型」のデータの利用も容易になる。さらには、金融向けのIR文書や、記者会見動画など、これまであまり活用されてこなかった非定型データも分析の対象になる。こうした従来使っておらず、金融業界の外にあるデータが「オルタナティブデータ」だ。ただ日本では、その方法論は定まっておらず、利用も進んでいないのが実情だ。
オルタナティブデータを使えば、例えば、運送業のトラックの出入りや荷物の数をトラッキングすることで、その企業の業績を予想できる。コンビナートのタンクの衛星写真から石油の備蓄量を確認する「Orbital Insight(オービタルインサイト)」のようなサービスも出てきている。
海外では既にオルタナティブデータの利用が拡大している。データの購入予算は、日本円で1700億円を超える。データを提供するプロバイダーの数も400社以上存在するという。(図2)