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撮影だけで母豚の成長を管理するためのシステム、NTTテクノクロスが販売

DIGITAL X 編集部
2021年10月18日

養豚業における繁殖成績を高められるよう母豚を撮影するだけ、その成長を管理できるシステムをNTTテクノクロスが2021年10月26日から販売する。熟練者でなくても繁殖に最適な成長を管理できるようにすることで、養豚経営の効率化を図る。2021年10月11日に発表した。

 NTTテクノクロスの「any-condition(エニコンディション)」は、母豚を撮影するだけで繁殖に最適な「増体」を管理するためのシステム(図1)。増体とは1日当たりの体重の増加量。養豚業では、健康な子豚を多く出産できるよう、増体を指標に飼養環境や給餌・給水を適正に管理することが重要という。豚の体重推定システム「デジタル目勘(めかん)」の技術やノウハウを元に開発した。

図1:「any-condition」による母豚撮影の様子(左)と増体と繁殖期を示すグラフ

 any-conditionでは、母豚の背中を撮影した画像から胸囲を推定する。母豚の増体変化には胸囲が最も相関関係が高いことが、山形県養豚研究所と伊藤忠飼料との2年間にわたる共同研究により判明したという。

 推定した胸囲から母豚の太り具合を評価する。増体推移はグラフ表示が可能で、知識や勘がなくても与えるべき餌の量を調整できるとしている。繁殖に最適な増体管理を実現すると同時に飼料コストの最適化も図れるとしている。

 母豚のデータを蓄積することで、品種や飼養環境に合わせた農場ごとの増体推移曲線を作成できる。増体の変化と繁殖成績を紐づければ、繁殖傾向の可視化や分析ができ、繁殖成績の改善につながるとする。

 NTTテクノクロスによれば、母豚の体重は通常200キログラムを超え、母豚の体重を量れる体重計を導入している養豚場は少なく、目視や触診による太り具合や、超音波による背脂肪厚の測定が取り入れられている。いずれも熟練の技術が求められるほか、測定者による誤差の発生や測定作業のための労力が課題になっている。

 any-conditionの参考価格は、母豚100頭以上の場合が初期導入費7万2000円(税別、以下同)から、年間ライセンス費が2万8000円~。母豚1000頭以上の場合は初期導入費が60万円、年間ライセンス費は24万円である。他に、スマートフォンや深度センサーなどの機材一式、約10万円がかかる。