• News
  • 共通

大企業の6割弱はITベンダー依存の肯定派、ドリーム・アーツの調査

DIGITAL X 編集部
2022年1月7日

大企業の6割弱が「ベンダー頼りは会社にプラス」「ベンダーにお任せで仕事が楽」などITベンダー依存を肯定--。こんな調査結果をドリーム・アーツが2021年11月25日に発表した。主要ベンダーを変更したことがない企業が8割に上る。

 ドリーム・アーツの『ホワイトペーパー大企業のITシステム決裁者1,000名に聞いた「DX/デジタル化」に関する調査』は、従業員数1000人以上の企業におけるITに対する予算執行者や意思決定権者、選定に助言や意見を言える立場の人など計1000人を対象にした調査。2021年10月28日と29日にインターネットで実施した。

 同調査によれば、社外の「ITベンダーに頼ることは会社にプラス」だとする回答が、「そう思う」と「どちらかというと」を合わせた肯定派が57%に上った(図1)。「そう思わない」「どちらかというとそう思わない」の否定派は11%にとどまった。

図1:「ベンダーに頼ることは会社にプラス」とする肯定派が57%

 こうした傾向を反映してか、「主要ベンダーを変更したことがない」という回答が8割に迫る(図2)。その内訳は、「変えるという発想をしたことがない」が11.3%、「変えたいと思ったことはない」が32.5%、「変えたいと思ったことはあるが、変えたことはない」が35.9%である。

図2:回答の8割弱は主要ベンダーを変更したことがなかった

 ベンダー頼ることの利点として最も多かったのは「専門分野を超えてベンダーのアドバイスを受けられる」の56.2%(図3)。だが「自社でIT人材を獲得・育成しなくても良い」との回答も40.1%あった。

図3:ベンダー依存の利点に「自社でIT人材を獲得・育成しなくても良い」ことを挙げる声も多い

 自由回答欄には、「ベンダーに頼りすぎると社内で人材が育たずノウハウも蓄積されない」「ベンダーにロックインされて要件定義書の作成すら内製化できなくなると大きな問題になる」など、過度な依存がリスクになり得ることを指摘する声が上がっている。しかし、「大きな問題が発生したとき組織内で責任問題に発展しない」とする回答が14.5%、「多くを内製化することは現実的に不可能」との回答が14.2%あった。

 ベンダーと付き合う上で得したことに対しては、「IT専門家の知見や他社の状況などを知ることができ視野が広がる」が76%で最も多く、「弊社のシステムの仕様を十分に把握しているため何か困ったときに頼ることができる」が73%、「トラブルを無事に解決できた」が69%で続く(図4)。

図4:ベンダーへの期待はITの専門知識のほか、自社システムの理解度の高さ

 ただ「基本的にすべてお任せで仕事を進められるので、仕事が楽だ」との回答も65%あった。お任せで仕事が楽とする傾向は、ベンダー依存度が高い企業ほど強い。「ベンダーから転職のオファーや引退後のポジションの提案があった」とする回答も45%、「トラブルの責任をかぶってくれた」との回答も39%ある。

 こうした一方でデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは進展している。「DX推進中、新規事業創出」と「同、ビジネスモデル変革」「同、ビジネスプロセス変革」を合わせた推進派は79%に上る(図5)。

図5:DXへの取り組みを推進する企業が8割弱

 DX推進派においては、ここ2〜3年のIT予算について「増額」が46%、「横ばい/変化なし」が44%だった。「減少」は5%である(図6)。

図6:DX推進派はIT予算も増加傾向が強い

 またDX推進において「ベンダーの変更や新規採用を検討したかどうか」について、「すでに実施した」が38%、「検討中」が50%あった(図7)。先の結果と比べれば、既存システムにおいてはベンダーの変更は俎上に上らないものの、DXにための新規システムにおいては新たなベンダー選定に積極的なことになり、DXの取り組みが大手企業とITベンダーの関係性を変えるのかもしれない。

図7:DX推進においては新たなベンダーとの関係構築を模索している