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人とプロセスとデータをつなぐ、米Autodeskが見据えるアフターコロナのチームワークの作り方【後編】
米ニューオリンズで開かれた「Autodesk University 2022」より
バンゼル氏は、「Autodesk Formaでは、プロジェクト全段階でデータ収集が統一され、反復的なタスクを自動化できる。イノベーションにかける時間や資源をより確保できる」と説明する。
反復的なタスクの自動化のメリットについて語ったのは、スウェーデンのエンジニアリング企業Bravidaでエンジニアリングデザインマネージャーを務めるパスカル・サヤ(Pascal Sayah)氏。「デザイナーを中心とした小さなチームでも自動化によって業務時間を確保できた」という。
Bravidaは、首都のストックホルムを南北につなぐ「E4バイパス」の建設を請け負った。「大規模かつ複雑なプロジェクトでは、設計段階で何が起こっているのかを他のチームは知らない」(サヤ氏)。そこでプロジェクト全体を、建設用ワークフロー基盤「Autodesk Construction Cloud」を使って管理し、設計から建設、メンテナンスまでにRevitを適用した(図1)。この仕組みにより「開発コストを削減できた」(同)としている。
異なるスタジオやアーティストをつなぐAutodesk Flow
「Autodesk Flow」について、担当のエンターテイメント&メディアソリューションズ シニア・バイス・プレジデントのダイアナ・コレラ(Diana Collea)氏は、「コンテンツ需要の高まりでアーティストは、少ない予算と厳しい締め切りの下、長時間労働を要求されている。創造的な仕事をするには効率性の確保が重要だ」と強調する。
Autodesk Flowの中核になるのは、3Dアニメの制作ソフトウェア「Maya」だ。
3Dキャラクター作成ソフトウェア「Motion Builder」や、ワークフロー管理ソフトウェアの「ShotGrid」と連携するほか、同社が2021年に買収したクラウド映像管理プラットフォーム「Moxion」によりコンテンツを一元管理する。撮影した映像をMoxionにアップし、ディレクターなどによる指示に基づいて、各担当者が修正していく(図2)。
映像管理基盤の重要性を語ったのは、映像制作スタジオの英Jellyfish PicturesでCTO(最高技術責任者)を務めるジェレミー・スミス(Jeremy Smith)氏。「当社の拠点は英国にあるため、地理的に離れた場所で作業する担当者とのチーム作りが必要だった」と話す。
Jellyfish Picturesは、『ストレンジャー・シングス』『スター・ウォーズ』などの人気作品を手掛けている。コンテンツ管理には10年前から、ソフトウェア定義ストレージを提供する米Hammerspaceと提携し取り組んできた。そこにワークフロー管理ソフトウェア「ShotGrid」を組み合わせ、「どのアーティストが何に取り組み、どのプロデューサーが担当しているのかを分かることが、映像制作を支える接着剤になった」(スミス氏)という。
今後はインフラ全体のクラウド化を進め、「世界中にあるデータを可搬性を実現し、映像制作にジャストインタイムに対応できるようにする」(スミス氏)考えだ。