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人とプロセスとデータをつなぐ、米Autodeskが見据えるアフターコロナのチームワークの作り方【後編】

米ニューオリンズで開かれた「Autodesk University 2022」より

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集部)
2022年12月19日

3D(3次元)CAD(コンピューターによる設計)ソフトウェアなどを手掛ける米Autodeskが、年次イベント「Autodesk University 2022」を米ルイジアナ州ニューオーリンズで2022年9月27日から29日にかけて開催した。前編では、withコロナ/アフターコロナを見据えた設計・開発環境におけるチームワークの実現に向けてAutodeskが投入する新クラウド基盤を紹介した。後編では、新クラウド基盤の機能と、その一端を使用している企業の声を紹介する。

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて新しい手段を試せるのは、弾性(レジリエンス)が高く、現状に留まることを否定する人たちだ」−―。米Autodeskのエクゼクティブ・バイス・プレジデント兼COO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)であるスティーブン・ブルーム(Steven Blum)氏は、「Autodesk University 2022」(米ルイジアナ州ニューオーリンズで2022年9月27日〜29日に開催)の2日目の基調講演で、こう述べた(写真1)。

写真1:エクゼクティブ・バイス・プレジデント兼COOのスティーブン・ブルーム(Steven Blum)氏

 そうした企業の代表としてブルーム氏は、大和ハウス工業とトヨタ自動車を紹介する。大和ハウスは今、BIM(Building Information Modeling)をベースに建設プロセスのデジタル化に取り組んでいる。同社の上席執行役員 技術統括本部副本部長である河野 宏 氏は、DXの推進に当たっては「明確なビジョンと業務プロセスに焦点を当て、それを達成するためのメッセージを従業員に伝え続けることでチームを形成した」と強調した。

 トヨタ自動車は、開発のリードタイム短縮に向けて、サプライチェーンやパートナーとのコラボレーションを重視している。生産技術者から営業、顧客担当、外部のステークホルダーまでをチームとして機能させるため、Autodesk環境をチームのコラボレーションの基盤に採用しているという。

 ブルーム氏は、「変化と破壊を受け入れ、DXを全社的に進めるために最も重要なのは人のつながりだ。DXへの取り組みはチームスポーツである。チームをナビゲートする支援者があれば、チームは、より良く、より速く動く」とした。その支援者が、Autodeskであり、今回発表した新クラウド基盤というわけだ。

 前編で紹介したように、Autodeskがチーム作りを支援する新クラウド基盤として投入したのは、(1)建設・土木(AEC:Architecture, Engineering & Construction)向けの「Autodesk Forma」、(2)メディア・エンタテイメント業界向けの「Autodesk Flow」、(3)設計・製造業向けの「Autodesk Fusion」の3種である。各部門の担当者による機能紹介と、機能の一部を先行して利用している企業の声を紹介していく。

BIMを中心に建築・土木プロジェクトを支援するAutodesk Forma

 「Autodesk Forma」について担当のAECデザインソリューション エクゼクティブ・バイス・プレジデントのエイミー・バンゼル(Amy Bunsel)氏は、「BIMワークフローを統合・簡素化し、設計機能とコラボレーション機能を高める」と説明する。

 Autodesk Formaの中核に位置するのは、BIMソフトウェアの「Revit」。そこに自社製CAD(コンピューターによる設計)ソフトウェアの「AutoCAD」や、ビジュアル化ソフトウェア「InfraWorks」を連携するほか、「戦略的パートナーシップによって機能を拡張し、建設・土木業界全体に価値を創造する」(バンゼル氏)という。

 例えば、3次元CADソフトウェア「Rhinoceros 3D」(米McNeil and Associates)や、「Twinmotion」(米Epic Games)などとは、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)により、設計データやデザインデータの共有を可能にしている。