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2024年のCESは広範囲のテクノロジーを“全部のせ”、生成AIによるDXの広がりも

「CES 2024」から、基調講演にみるトレンド

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2024年2月7日

生成AIがテクノロジーをより身近にする

 基調講演全体を通してのキーワードは、間違いなく「AI」である。AI技術の活用については、2018年に米Amazon.comや米Googleが音声アシスタントを投入しCESの会場を席巻したこともあった。だが今回の生成AIは、より身近で簡単に使いやすいものへと進化している。

 例えば、ビューティテック分野から初めて基調講演に登壇した仏ロレアルは、10年前から提供しているメイクのシミュレーション用アプリケーションに生成AIを適用し、対話式で個人に合わせたアドバイスを提供する「ビューティ・アドバイザー」を発表した。

 生成AIの活用は製造現場でも進んでいる。HDヒュンダイは、作業現場の生産性と安全性をAI技術で高める仕組みを発表。建設用車両や重機を管理するAIプラットフォーム「X-Wise」を活用した「X-Wise Xite」では、センサーやカメラを使って現場状況をリアルタイムに把握し、遠隔から最適な操作方法をアドバイスすることで生産性と安全性を高める。AIの開発はGoogleが協力している。

写真3:韓国のHDヒュンダイは重機の操作などへのAI技術適用を進めている

 米大手小売業のウォルマートは、生成AIでオンラインショッピングをサポートする。サッカーの観戦中であれば、そのシチュエーションにあったスナックや飲み物、テレビ番組までをカテゴリーを超え検索可能にし、購買履歴からは、いつも購入している商品を適切なタイミングでカートに補充する。またリアル店舗では、AI技術を使った画像認識機能により、商品をカートに入れたまま精算できる(写真4)。場合によってはドローンによる宅配も手配する。

写真4:米ウォルマートはリアル店舗での精算にAI技術を適用し自動化を図っている

サスティナビリティとオープンイノベーションへの関心も高まる

 AIと並んで頻出していたキーワードが「サスティナビリティ(持続可能性)」と「オープンイノベーション(共創)」である。

 サスティナビリティという言葉の中には、エネルギーや、資源、環境、安全など、さまざまな要素が含まれている。特に気候変動の原因だとされるCO2削減は世界的な目標が掲げられており、すべての企業で課題になっている。エネルギーの最適化、資源利用の効率化といった取り組みにおいてテクノロジーの活用は、ますます不可欠なものになっている。

 テクノロジーの活用も、企業単体では、できることに限界がある。そのため、スタートアップを中心に、オープンイノベーションに積極的に取り組む動きがグローバルで加速している。基調講演に加え展示会場においても、ジャンルを超えた、さまざまな連携が多数、見られた。

 そうした意味で2024年のCESは、何か突出した製品/サービスを見つけるというよりも、どのようなアライアンスやプラットフォームが形成され、市場にどのような影響をもたらすのかを考える場になっていたように感じる。具体的に、どのようなものがあったのかは、今後のレポートで紹介していきたい。