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デジタル化で分断するデータをAI技術でつなぎ新たなものづくりをデザインせよ

「Autodesk University 2023」より、設計・デザイン分野における生成AI活用のこれから

佐久間 太郎(DIGITAL X 編集部)
2024年2月8日

3D(3次元)CAD(コンピューターによる設計)ソフトウェアなどを手掛ける米Autodeskが、同社の年次イベント「Autodesk University 2023」(米ラスベガス、2022年11月13日〜15日)で訴えたのは「AI(人工知能)テクノロジーを使った仕事の未来」である。生成AIをはじめとしたAI機能を製品に積極投入し、設計・デザイン業務だけでなく、製造工程を加味したデータ連携などを図り、ものづくりの方法そのものの変革を支援するという。

 「AI(人工知能)技術がデザインや製造の世界を一変させようとしている。そうした中で今後は、既存の働き方にAI技術を適用するのではなく、AI技術を活用するために働き方を変えていかなければならない」――。米AutodeskのCEO(最高経営責任者)であるアンドリュー・アナグノスト(Andrew Anagnost)氏は、同社の年次イベント「Autodesk University 2023」(米ラスベガス、2023年11月13日〜15日)の基調講演で、こう強調した(写真1)。

写真1:米AutodeskのCEO(最高経営責任者)であるアンドリュー・アナグノスト(Andrew Anagnost)氏

サイロ化する作業やデータをAI技術で連携させていく

 アナグノスト氏が前年の「Autodesk University 2022」(米ニューオーリンズ)の基調講演(https://dcross.impress.co.jp/docs/news/003284.html)で強調したのは、コロナ禍で分断された人、データ、プロセスをつなぎ直し、ビジネスの危機を乗り越えるためのチームワークの重要性だった。

 だが日常生活が安定してきた今、「パンデミックの最盛期よりも人々は不安を感じている」とアナグノスト氏は危惧する。「サプライチェーンの供給不足やインフレーションによる賃金高騰など、先の見えない不確実性に従来に増して直面している」(同)からだ。

 リアルとバーチャルを組み合わせたハイブリッドな環境は働き方に柔軟性をもたらした。しかしアナグノスト氏は「制作スタジオや建設・工場現場、キッチンなど、どんな場所で働こうとも、さまざまな業界の労働者が不確実性の増大に直面しているのが現実だ」と指摘する。

 加えて、人手不足にあえぐ各業界の現場では、「これまで以上に多くのソフトウェアツールを使いこなすようになっている」(アナグノスト氏)。そこでは「新しい仕事が増えれば増えるほど、時間は細分化され、データは断片化される。それだけに、クリエイティブ以外の作業はAI技術を使った自動化によりチームの負担を軽減し、創造的な仕事のために、いかに時間を割くかが問われている」(同)

 そこでAutodeskは今回、自社製品に搭載するAI技術群を「Autodesk AI」として整理・発表した。アナグノスト氏は「進歩し続けるAI技術は、作業環境を問わず、増大する人手不足を解決する手段として重要だ」と訴える。Autodesk AIは大きく(1)創造的作業のためのAIと(2)連携的作業のためのAIとに分けられる。