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視覚系ウェアラブルデバイスは“普通”のメガネ型が主流に、生成AIとの組み合わせも始まる
米ラスベガスで2024年1月9日から12日にかけて開催された世界最大級のテックトレンドイベント「CES(シーイーエス)」。今回はAI(人工知能)技術デバイスとして期待されるスマートグラスやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などの視覚系のウェアラブルデバイスに注目し、出展動向などを解説する。
2024年の「CES(シーイーエス)」で驚いたことの1つに、さまざまなタイプのウェアラブルデバイスが多数出展されていたことがある。中でも視覚系のウェアラブルデバイスは、その用途も機能もバリエーションが広がっていた。「Google Glass」の撤退で市場は縮小するかとも思われたが、例年なら主要大手メーカーの大型ブースが並ぶラスベガスコンベンションセンター(LVCC)のセントラルホールの一部が、視覚系のウェアラブルデバイスの関連ブースや体験エリアで埋めつくされていた。
ARとAIを組み合わせるスマートグラスが増加
ビジネス用途の視覚系のウェアラブルデバイスとしては、仕事や作業を支援するアシスタントデバイスとして、いろいろなタイプの製品が登場していた。AR(Augmented Reality:拡張現実)グラスと呼ばれるタイプでは、多機能を追求するよりも、機能を絞り込み、長時間の利用でも違和感なく使い続けられる製品が増えている。
ビジネス用途での利用を伸ばすスマートグラスの老舗メーカーである米Vuzixは、新製品「Vuzix Z100」において、「iOS」と「Android」を搭載するスマートフォンとBluetoothでペアリングできることに特化し、軽量で屋内外でも表示が見やすく、見た目もほぼ普通のメガネに近づけた(写真1)。
同じように、メガネにしか見えないARグラスは複数メーカーが発表した。そうしたメーカーの要望にあわせたARレンズの開発を専門にするスタートアップ企業もある。韓国のLetinARは開発した種々のタイプのARレンズを、それを採用した製品と共に紹介していた。
ARグラスの開発に取り組む日本のCellidは、より軽量なプラスチック製のフルカラー表示ができる新作ARグラスをデモしていた。空間認識のためのソフトウェアと組み合わせ、さまざまな情報をメガネ越しに表示できるようにする。
ARグラスが増えている背景には生成AI(人工知能)技術の存在があると考えられる。生成AI技術を利用し、音声やカメラの映像などで検索や情報収集ができるAIアシスタントデバイスが2023後半頃から登場している。種々の機能をハンズフリーで操作でき、情報を目の前に表示できるARグラスは生成AIとの親和性が高く、今後ニーズが高まることが見込まれている。
先のVuzix Z100も、そうしたAIグラスとしての利用を提案している。CESへの出展はなかったが、シンガポールのBrilliant Labsは、スマホ接続に加えてマルチモーダルAI機能を搭載するAIグラス「Frame」を開発・販売している。2025年のCESでは、さらに多くの新製品が登場するかもしれない。