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DX推進を阻む人材確保と育成の壁、IPAの『DX動向2024』が指摘
成果を上げている企業にはCDOやデジタルに見識のある役員がいる
ただ一方で、DX推進組織を立ち上げる企業は年々増えている。1001人以上の企業の約9割が専門部署やプロジェクトチームを設けている。その割合は、101人以上300人以下で約6割、100人以下の企業でも3割弱だ。結果、DXの成果が出始めている。「何らかの形でDXに取り組んでいる」企業の6割以上が「成果が出ている」と回答する。
デジタル化の取り組みを「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の3段階に分け、その成果を聞いたところ、2022年度調査から大きな変化は見られないものの、「アナログ・物理データのデジタル化」や「業務の効率化による生産性の向上」といったデジタイゼーションの成果が出たとする割合は高くなっている(図4)。
しかし、「新規製品・サービスの創出」や「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」といったDXの成果は依然として出ていない。河野氏は、「DXの取り組みは進んでいるものの、求められる成果、結果をどう出すのかが課題だ」と指摘する。
そもそも「DXを知らない」や「戦略上のメリットが分からない」といった回答が多いのは、「DXに関する情報がユーザー企業に十分に届いていないからだ」という見方もある。そこでは「どんな取り組みが成果を出しているのか」といったユースケースを揃え、「どのようなビジネス変革が起きているのか」を示す必要もあるだろう。
では、「成果が出ている」とする企業は、どんなことに取り組んでいるのか。1つはDX推進リーダーとなるCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)の任命だ。CDOの配置率は、「成果が出ている企業」(22.3%)と「出ていない企業」(12.5%)では10%弱の差があった。
もう1つは、ITやデジタルに見識のある役員の在籍である。全役員に対する、その割合が「3割以上5割未満」と「5割以上」とした企業においては、「成果が出ている」企業が約20%なのに対し、「成果が出ていない」企業は9%と、その差が10ポイントもある。デジタルやIT分野に見識がある人材が役員に就いていることは、DXを推進し成果を出すうえで重要だということだろう。