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DX推進を阻む人材確保と育成の壁、IPAの『DX動向2024』が指摘
IPA(情報処理推進機構)が2024年6月27日、『DX動向2024』を発表した。2023年2月9日に発表した『DX白書2023』を引き継ぎ、日本企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを「戦略」「技術」「人材」の視点から調査した結果だという。DX白書2023はサブタイトルを「進み始めた『デジタル』、進まない『トランスフォーメーション』」とした。そこから日本のDXは進展したのだろうか。答は「ノー」だ。DX動向2024はサブタイトルを「進む取組、求められる成果と変革」とし、DXの成果を創出できていない状況が続いているとする。日本企業の課題と解決策を同レポートから探ってみる。
そもそも、調査レポートの名称をなぜ『DX白書』から『DX動向』に変更したのか。その理由を、調査にあたったIPA総務企画部 調査分析室 室長の河野 浩二 氏は、「DXの取り組み状況を早く伝えることを重要視したからだ」と説明する。具体的には、アンケート調査を2024年5月上旬までに実施し、6月末にレポートを公表した。調査の対象企業数も、2023年の543社から1013社へと倍弱に増やし、「より実情に近い結果を表せるようにもした」(河野氏)という。
全社戦略をもってDXに取り組む企業が6割に
まずDXの取り組み状況を見てみる。「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」と「全社戦略に基づき、一部の部門でDXに取り組んでいる」の回答合計は、2021年度の45.3%が約6割にまで確実に高まった(図1)。従業員1001人以上の企業では9割弱にもなり、2022年度調査時の米国企業の取り組みをも大きく上回っている。
業種別では、「金融業・保険業」が95.1%、「製造業等」が74%と高く、「サービス業」は47%にとどまる(図2)。この差は、「生産性にも現れている」とIPAは分析する。
もちろん、DXに取り組まない理由や取り組めない理由がある。回答者の多くが挙げるのが人材不足と知識不足である。「DXに取り組む予定はない」と「DXに取り組むか、わからない」と回答した企業のうち、従業員100人以下の企業の59.0%が「DXに取り組むための知識や情報が不足している」とし、43.6%は「自社がDXに取り組むメリットがわからない」と答えている(図3)。
さらに、従業員101人以上300人以下と同301人以上1000人以下の企業では、「DXの戦略立案や統括を行う人材の不足」と「DXを現場で推進、実行する人材の不足」が、それぞれ6割を超える。