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EV充電や災害救助用ドローンなどモビリティ分野の独スタートアップ8社が登壇

「MOBILITY STARTUP CONNECT IN YOKOHAMA」より

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2024年12月23日

横浜市が運営するテック系スタートアップ支援拠点TECH HUB YOKOHAMAで2024年12月6日、ピッチイベント「MOBILITY STARTUP CONNECT IN YOKOHAMA」が開催された。モビリティ分野のビジネスやサービスを展開するドイツのスタートアップ8社が登壇した。ピッチ前のパネルセッションでは、海外スタートアップとのコラボレーションにおいて意識すべきポイントなども示された。

 「TECH HUB YOKOHAMA」は、横浜市が運営するテック系スタートアップの支援拠点である(写真1)。ここに2024年11月11日、日本と欧州をつなぐ次世代モビリティ共創ハブとして「The Drivery Japan」がオープンした。独ベルリンで2018年に始動した「The Drivery」の日本の活動拠点として開いたものだ。

 The Driveryは、130超のスタートアップが参加する欧州最大規模のモビリティエコシステムとして注目されている。モビリティに特化した専門性の高い支援を提供する。The Drivery Japanでは、横浜市とのパートナーシップによるPoC(実証実験)や補助金申請などもサポートする。

写真1:みなとみらい地区に新設された横浜市のスタートアップ支援拠点「TECH HUB YOKOHAMA」

 今回のピッチイベント「MOBILITY STARTUP CONNECT IN YOKOHAMA」では、The Drivery Japanと、同じくスタートアップ支援機関の「Start2 Group(スタートトゥグループ)」とが、モビリティ関連スタートアップを4社ずつ選出し、計8社を招待した。

 Start2 Groupは、ミュンヘンでドイツ起業家協会として設立された。ドイツ、米国、南米、アジアに支社を持ち、国境を越えたコラボレーションを促進している。多数のユニコーン創出にも関わっている。

 ピッチイベントの前にパネルセッションが開かれた。The Drivery Japan マネージング・ディレクターの山本 知佳 氏と、Start2 Group日本代表の小田嶋 Alex 太輔 氏、独フリードリヒ・シラー大学イェーナ校(通称イェーナ大学)が運営する国際スタートアップ支援部門に所属するヴァレリー・ダルドルップ(Valerie Daldrup)氏が登壇し、日欧を結ぶスタートアップ連携の状況や今後のアドバイスなどを語った(写真2)。

写真2:パネルセッションでは日欧を結ぶスタートアップ連携などが語られた

 小田嶋氏は「ドイツは中小企業が多く、事業規模や考え方も日本に近いところがある。メンターをしていて感じるのは、気質的に相性が良いことが大事なポイントで、連携が進みやすいのではないか、ということだ」と指摘した。

 今回選出されたスタートアップは表1にある8社。各社とも先進的な研究開発に取り組んでいる点が目立った。投資元もさることながら、共に市場を開拓できる協業先を探しているという声が多かった。既に日本企業との連携を進めているところもあるようだ。

表1:MOBILITY STARTUP CONNECT IN YOKOHAMAに登壇したモビリティ分野の独スタートアップ
選出者会社名事業/サービスの概要
The DriveryEnerithm撮影した建物の画像から消費電力を予測するAI技術を活用したスマート・エネルギー・コンサルティング
LADEホテルや企業を対象に、AI技術を使ったエネルギーマネジメントシステムと連携したEV充電ソリューション
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myCarmunityクラシックカーや過去の名車の愛好家を対象にした安全で透明性の高い取引プラットフォーム
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