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オーストリア発のスタートアップ6社が「ANCHOR KOBE」でのピッチイベントに登壇
「AUSTRIAN STARTUP NIGHT IN KOBE 2024」より
除草剤不要の雑草取りや農業廃棄物のエネルギー変換を可能に
アグリテック分野から登壇したAI-Weederは、掃除ロボ「ルンバ」のように自走する芝刈りロボットの技術を開発する(写真4)。カメラ画像から雑草だけをAI技術を使って見つけ出し、除草剤を使わずに雑草を取り除いて芝を整備する。そのための実証実験も始めている。AI技術を既存の芝刈り機にも搭載することにも取り組んでいる。
Vertus Energyは、農家や牧場から出る廃棄物をエネルギーに変えるバクテリア制御技術を開発する(写真5)。プラントを小型化しているのが特徴だ。
今回は「BRIO」と「BODA」の2つの技術を紹介した。BRIOは、従来技術よりバイオガスの生成量が60%多く、3倍の早さで生成できる技術。2025年にパイロットシステムの運用を開始し、2026〜27年のデモプラント立ち上げを目指している。BODAはバイオガスをバイオメタンに変換する技術である。
6社の発表内容はいずれも興味深く、日本企業との連携により相乗効果を生み出せる可能性があるのではないかと感じた。他のアジア地域でのプレゼンテーションも予定されているが、機会を逃さずアプローチする日本企業や投資家が現れることに期待したい。
欧州進出を目指す東大発バイオスタートアップも登壇
なお今回のイベントでは、GINのGO AUSTRIAプログラムに参加した東大発バイオスタートアップのPITTANもプレゼンテーションに参加した(写真6)。同社は神戸市に本社を置き、神戸医療産業都市内にあるレンタル式ウェットラボ施設「クリエイティブラボ神戸(CLIK)」で研究している。
「Lifelong Positivity」をミッションに掲げる同社が開発するのは、微量での生体成分の分析技術。小型・高速な分析装置を用いて微量な汗から肌や筋肉の栄養状態を可視化するヘルスケアサービス「Nytrifull(ニュートリフル)」も提供する。血液検査より手軽なため、高齢者の老化防止につながるインナーケアサービスとしての展開を進めている。
海外進出も視野に入れる。取締役COO(最高執行責任者)の西川 嘉紀 氏は「世界で高齢化が進む中、さまざまなノウハウを持つ日本発の質の高いサービスは、健康意識が高いオーストリアを拠点に欧州にも広がる可能性があると見ている」とした。