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日本の製造業はAI導入意欲は高いが価値創出につながっていない、ロックウェルが課題と対応策を説明

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年7月30日

生産現場におけるAI(人工知能)技術利用をテーマに、生産制御システムなどを手掛ける米ロックウェル・オートメーションの日本法人が記者説明会を2026年7月8日に開催した。日本の製造業の取り組み状況や、同社が提唱する「スマートマニュファクチャリング」の実現に必要な4つの技術と、それに対応した製品群について説明した。

 「日本の製造業の『スマートマニュファクチャリング』とAI(人工知能)技術への期待と投資意欲は世界トップクラスにある。しかし、その取り組みはPoC(Proof of Concept:概念実証)に留まり、全社展開から価値創出への移行が課題になっている」--。米ロックウェル・オートメーション日本法人の代表取締役社長である矢田 智巳 氏は、日本の製造業におけるAI技術導入について、こう指摘する(写真1)。

写真1:米ロックウェル・オートメーション日本法人 代表取締役社長の矢田 智巳 氏

 米Rockwell Automationが提唱するスマートマニュファクチャリングは、先端技術を使って製造現場の自動化・最適化を図るもの。同分野の動向を毎年調査してもいる。第11回目となる2026年版の『スマートマニュファクチャリング報告書』によれば、日本企業の生成AI技術や因果推論AI技術への投資率は70%で世界平均の55%を上回る。AI技術により高いROI(Return On Investment:投資対効果)を実現した企業の割合も41%で世界平均の32%より高い。

 しかし、AI技術や機械学習を業務改善に活用する企業は26%(世界平均34%)、活用できているデータは31%(同43%)と、いずれも世界平均を下回る。MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)の導入率は84%と高い一方で、標準化・統合まで実現している企業は33%(世界平均51%)に留まる。

 スマート化に伴うセキュリティの強化も課題になっている。サイバーインシデントの経験率は43%と世界平均の46%と大差ないものの、防御体制に「非常に自信がある」とする企業は7%で、世界平均の45%を大きく下回る。

 矢田氏は「製造業のAI技術の活用においては、工場の設備や制御方法、データ構造の標準化が重要だ。だが、日本では最も進んでいない領域でもある。導入に関わる意思決定なども含め、移行スピードを高めていく必要がある」とする。

AI技術を生産現場で使うには4つの技術が必要

 スマートマニュファクチャリングの実現に必要な要件として矢田氏は(1)AI技術による分析により障害の遠因を突き止められること、(2)物理的な挙動をシミュレーションで確認できること、(3)自律的に最適化できることを挙げる。

 これら3つの要件を実装するための技術としては(1)人間が持つルールやデータ同士の関係性を整理した「産業ナレッジグラフ」、(2)データと制御の標準化、(3)デジタルツインによる制御プログラムの検証、(4)エッジ機器へのAI技術の実装、の4つだとする(図1)。必要なデータの収集・保持は、これらの前提条件になる(図1中の「0」)。

図1:スマートマニュファクチャリングの実現に必要な4つの技術領域