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AIの事業化から資金調達までを支える関西地域の共創基盤、レノボ・ジャパンが創設

かのう よしこ
2026年10月1日

関西地域でAI(人工知能)の新規事業を生み出すための共創基盤の創設を、レノボ・ジャパンが2026年7月22日に発表した。大学や研究機関などのAI技術を産業界のニーズと結び付け、事業化から金融・資本市場での資金調達までを一気通貫で支援する。同日、拠点の1つである「Nakanoshima Qross(中之島クロス)」(大阪市北区)でメディア向け発表会とセレモニーを開き、構想を説明した。

 「これまではハードウェアメーカーがハードウェアをつくり、その上にOS、その上にデータベース、そしてSierがいるエコシステムだった。これが現在、さらに上のレイヤーに小さなAI開発企業が多数入ってきている」--。IT事業者を取り巻くエコシステムについて、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長の張 磊(チョウ・ライ)氏はこう話す(写真1)。

写真1:レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長の張 磊(チョウ・ライ)氏

 事業者の顔ぶれが広がる一方で、企業がAIシステムを導入する現場も変化している。張氏がまず挙げるのはIT事業者が向き合う顧客の変化だ。「我々はメーカーで、これまでの顧客はほとんどが情報システム部門だった。ところが今、顧客が事業部門に移っている」(張氏)

 顧客が導入するAIシステムの接続先にも従来との違いが出ているという。張氏はその要望を受け止める中での実感として「AIシステムとの連携はこれまで導入した基盤や基幹システムではなく、業務システムに直接つなぐケースが圧倒的に多い。事業部門からは、ビジネス課題に基づいて日々、種々の要求が出てくる」と説明する。

関西のAI新規事業を、事業化から資金調達まで支える

 こうしたことからレノボ・ジャパンは、事業部門の課題に応える担い手としてのAIスタートアップを支援するため、関西地域でAI技術の新規事業を支援する共創拠点「Kansai AI Hub(関西 AI Hub)」を2026年7月22日に創設を発表した。企業や大学、研究機関発スタートアップのAI技術を産業界のニーズと結び付け、事業化から金融・資本市場での資金調達までを一気通貫で支えるという。レノボ・ジャパンが事務局を務め、参加希望企業は、登録審査に通過すれば無料で参加できるとする。

 関西 AI Hubの目標について、「PoC(Proof of Concept:概念実証)にとどまらず、事業化と成長までを支援することだ」と強調する。事業化と成長に向けて関西 AI Hubは、企業、特にスタートアップが直面する課題を6つに整理している(図1)。

図1:AI時代に企業が直面する6つの課題

 支援の具体的な流れとしては、まず関西 AI Hubが技術相談を受け付けて、検証基盤を提供する。次にAIスタートアップと大企業が共同でユースケースを作り、実証実験を経て開発に進む。

 完成したものはパッケージ化し、ITメーカーとしてのレノボが再販する。「検証の環境と実装の支援でPoCから本番環境まで一貫してサポートするのは、ITメーカーとして我々が担う役割だ」(張氏)

 参加企業は、常駐スタッフへの相談に加え、関西 AI Hubが提供するAIサーバーを利用して開発の検証などが進められる。近年は「GPU(Graphics Processing Unit:画像処理半導体)やサーバーの費用が高騰しており、資金調達に悩むAIスタートアップに必要な検証環境を確保する」(張氏)としている。

 スタートアップ支援は、産学金(企業、大学・研究機関、金融・市場)に政府・経済団体を加えた組織が連携して包括的に支援する。2026年7月時点の参加予定組織は下記の通り(表1)。

表1:2026年7月時点の参加予定組織
AI開発支援・テクノロジパートナーAI inside、レノボ・ジャパン、米インテル日本法人
大学・研究機関未来医療推進機構、関西の主要大学、AI研究機関
金融・資本市場日本取引所グループ(JPX)、大阪取引所
政府・経済団体関西経済連合会など

 インキュベーション(育成)拠点として現時点で決まっているのは「Nakanoshima Qross(中之島クロス)」(大阪市北区)と「グラングリーン大阪」(同)内にある「JAM BASE」の2カ所。大阪・梅田という関西における交通の要所を起点に、南北に位置する。