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ミスターマックスHD、処理速度が遅かったデータ基盤を立て直しAIエージェントの基盤に

「Snowflake World Tour Tokyo 2026」より、執行役員 DX戦略部門管掌の今村 健児 氏

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年10月15日

設定変更やクエリーの見直しなどでコストを削減

 利用状況の見直しに向けてインテージテクノスフィアはまず、テーブルの重複やデータベースへのクエリー処理の複雑さ、不要な自動更新や定期実行の乱立、基盤設定の誤りなどを一つずつ確認した。そのうえで「設定変更やクエリーの見直しなど費用を抑える方針を採った」と新氏は話す。

 例えば、処理待ちの原因としては、Tableau向けのDWH(データウェアハウス)で高負荷な状態が続いており、最大で80件ほどのクエリーの処理待ちが生じていた。「負荷に応じて計算資源を自動で増やす『マルチクラスター』設定が初期設定から、ほぼ手付かずのままだった」(新氏)からだ。

 マルチクラスターの設定を見直し処理待ちを減らした結果、データ抽出にかかる時間を2時間から数分に短縮できた。今村氏は「この改善が最も効果が大きかった」とする。ある店長は「データ確認のために朝7時に出社していたが、8時に出社すればよくなった」(同)という。

 処理速度の改善に加え、費用の削減にも取り組んだ。状況確認により「クエリー処理の99.36%が処理開始から3秒以内に終わっている」(新氏)ことが分かっていた。ただ「処理時間が3秒以下のクエリーは、それ以上の最適化が難しい」(同)

 そこで計算資源のサイズを1段階下げ費用を半分にまで削減した。それでも「クエリーの98.61%は3秒以内に完了し、大きな問題は生じなかった」(新氏)という。現在は、クエリー処理が繁忙になる時間帯は一時的に計算資源のサイズを上げて対応している。

 また全てのデータを対象に、Snowflakeの利用料金が機密性の高い業務を対象にした最上位プランになっていた。これも不要な部分は下位プランに切り替えることで費用を約25%削減した。これらは本来「導入時に決めておくべきことで、後からの変更は大変だ」と新氏は指摘する。

 ほかにも、データを過去の状態に戻す「タイムトラベル機能」の保存期間を31日から7日に短縮したり、ダッシュボードは可能な限りTableau側にデータを取り込んでから処理する方式に変更したり、乱立していた計算資源の統合などを実施したりした。

 これらの取り組みにより、最終的には「データ表示・抽出時間は50%以上、コストは40%以上削減できた。結果、従業員の利用率や満足度も向上した」と今村氏は評価する。

データ基盤の再整備を機にAIエージェントを導入

 データ基盤の環境が整ったことで、ミスターマックスは、データのより高度な活用に向けて、データ分析を支援するAI(人工知能)エージェントの導入に取りかかっている。AIエージェント向けには、店舗のPOS(Point of Sales:販売時点情報管理)データのほか、在庫状況、公式アプリケーション会員の属性、EC(電子商取引)データ、関係する外部データなどをSnowflake上に整備した。

 現場への導入支援策として「『AIエージェントとは何か』『どのような使用が許されているか』など倫理・法律上の注意点をまとめた10項目のAI利用ガイドラインを制定し、安心して使える環境を整えた」(今村氏)

 AIエージェントとしては現在、本部での需要予測やトレンド分析、マネージャー向けの店舗別分析、バイヤー向けの行動案を盛り込んだ分析レポートの作成、そして店舗の在庫確認や簡易レポート作成などに利用している。AIエージェントの利用で生まれた時間は「本来やるべき仕事や上流工程に充てている」(今村氏)という。

 今後について今村氏は「需要予測などをAIエージェントで高度化を図り、価格設定と在庫発注判断を支援し、競争力につなげたい」とする。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ミスターマックス・ホールディングス
業種流通・小売り
地域福岡市(本社)
課題データドリブン経営に向けてデータ基盤を導入したものの処理速度が遅く、現場での利用が進まなかった。そうした中でデータ活用を促した結果、ダッシュボードが乱立し、処理速度がさらに遅くなり、その改善のための追加費用が膨らんでいた。AIエージェントも活用したい
解決の仕組み基盤の設定や運用、契約プランなどを見直し処理速度を改善すると同時に過剰なコストを削減する。そのうえでAIエージェントが利用するデータを整備する
推進母体/体制ミスターマックス・ホールディングス DX戦略部門、インテージテクノスフィア
活用しているデータ店舗のPOSデータ、商品データ、在庫データ、アプリ会員の属性データ、ECデータなど
採用している製品/サービス/技術クラウド型データ基盤「Snowflake」(米Snowflake製)、BIツール「Tableau」(米Salesforce製)
稼働時期2024年9月(データ基盤の運用開始時期)