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広島県、ひろしまサンドボックスのデータ活用を広める「データカタログサイト」を公開
持続可能な地域経営にデジタル化は不可欠
ソフトバンク代表取締役社長 兼CEO(最高経営責任者)の宮川 潤一 氏はデータ連携のメリットとして、「たとえば病院と交通事業者のデータを連携すれば、診療予約と配車が一緒にできるようになり、検診の促進などにつながる」と紹介する。
ただ一方で、「持続可能な地域経営にはデジタル化は不可欠だ。だが日本全体では残念ながら遅れている」とも指摘する。
挽回に向けては、「国が推奨するアーキテクチャーに準拠する都市OSを基盤に、本当の意味でデータが利用できるルールや仕組み作りが必須だと考える。ひろしまサンドボックスの実証実験に参加したのもそのためだ。一緒にデータの相互性や阻害要因の解消を進めていきたい」(宮川氏)とする。
宮川氏が指摘する都市OSとは、内閣府が2020年に策定した「スマートシティリファレンスアーキテクチャー」が提唱する「都市OS」のこと。広島県のデータカタログは、同OSに準拠した機能を持っている。
またソフトバンクが参加した実証実験は、データカタログが利用するデータ連携基盤を開発するプロジェクトである。異なるプラットフォーム間で有機的にデータを結合し、新しいサービスを創出できるようにするのが目的である。同プロジェクトにはソフトバンクのほか、広島県の小売業イズミと中国電力、広島銀行が参画している。
データの活用方法を公的に整備する必要がある
宮川氏は、「自治体行政には、たくさんデータがある。しかし、それらがデジタル化されたデータとして存在しないのが問題だ。とにかく使えるデータを作ることが大事であり、そこは思い切って一からやり直さなければならないのではないか」と指摘する。
実際、広島県でもデータの整理を進めているが、それだけで1年がかりで、公開するには、さらに時間がかかりそうだという。
これに対し眞野氏は、「データの標準化を進める場合、微に入り細に入りやろうとすると進まない。データのラベリングに使う言葉を統一するなど、最低限の基本的な事項だけ決めればいいのではないか。どう活用するかは地方自治体のリーダーシップが整理し、公的に整備する必要がある。欧州では、すでにそうした動きが始まっている」とする。
須賀氏も「データを扱うルールは誰かが明確に意識を持って整理する必要がある。だからといって、すべて同じ基準で整備するのは、かえって非合理的だ。それぞれに合った方法でシステムやルールを作り、つながろうと思えばつながれるようにするのが良い。そのためにオープンにしてブラックボックス化しないことが重要だ」と話す。
地方のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するためにもデータ流通は重要だ。眞野氏は「まずは、いろいろなデータの存在を知らしめ、探してもらう必要がある。データに巡り合う機会を設けることが地方が取り組むべきことではないか。広島にはデータはあるので、これからの取り組みが進むことに期待している」と広島県にエールを送る。
県知事の湯崎氏は、「データの可視化には積極的に取り組んでいく。データ流通の問題は解決すべき課題の1つだが、次世代イノベーションのためにも自治体の枠や法を超えて取り組みたい」と今後に前向きな姿勢を見せた。