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年間500超の試合日程を自動生成、SVリーグ×NSSOLで“世界最高峰”に向け集客力の高い試合運営を可能に
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- 日鉄ソリューションズ
クラブに不利な試合日程はファンの期待に反する
野村 :公平・公正な試合日程は、大同生命SVリーグを支えてくれるファンにとっても重要です。応援するクラブが不利な日程で試合を組まれていたらどう感じるか。ファンの期待に反する試合日程は何としても避けたい。この思いから、試合日程作成のシステム化、自動化を考え始めました。
そうした際に思い出したのが以前、動画サイトで見かけた日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が運用している試合日程自動作成システムです(『今回のゲストはなんと、あの日程くん!Jリーグをもっと好きになる情報番組「JリーグTV」2019年12月5日』、Jリーグ公式チャンネル、2019年12月5日))。
「これは使える」と直感し、開発元の日鉄ソリューションズ(NSSOL)に2024年の夏頃、相談を持ち掛けました。NSSOLにデモを実施してもらい、解が出る速さに驚きました。多様な制約条件を柔軟に設定できる画面も用意されており「使える」と確信しました。その後の意見交換と開発・導入作業を経て、2025年5月からシステムを本番稼働させています。
樋川 暁(以下、樋川) :NSSOL 技術本部 システム研究開発センターの樋川 暁です(写真3)。当社では長年にわたり、多数の選択肢の中から、制約条件を満たしつつ評価点が最も良くなる組み合わせを見つける「組合せ最適化問題」に取り組んできました。製鉄業における生産計画の立案を対象に培ってきた技術ですが、試合日程自動立案システムも、この組合せ最適化問題を解く技術を用いて開発しています。
最適化システムでは、業務要件を数理モデルに置き換え、計算結果から最適な組み合わせを導き出します。重要なのは、モデル化そのものではなく、実務で使える計画案となるように、本番業務での利用場面を想定しながら条件を適切に整理し設定として落とし込むプロセスです。
SVリーグから試合日程作成を相談された際も、打ち合わせを通じて、規約に基づく条件を1つひとつ確認していきました。同時に、それまで条件として明確に認識されていなかったルールも洗い出し、SVリーグ向け試合日程自動作成システム「SV.CardPlanner」を作り上げました。
野村 :先にお話ししたように将来的なクラブ数は固まっていません。一方で、年間のレギュラーシーズンは1クラブ22節44試合で決まっています。そのため相手クラブによって対戦数に違いが生じます。ほかにも、システムの仕様検討時点では「東西カンファレンス制」や「交流戦」の開催など未確定要素が多い中で、どのような開催方式になっても試合日程が作成できるように、SVリーグ独自の対応を依頼しました。
試合日程が組めない原因を特定・通知する機能を用意
──システムを使っての試合日程決定までの流れを教えてください。
野村 :最初にSV.LEAGUE WOMEN、SV.LEAGUE MENなど大同生命SVリーグに参加するクラブ、年間の試合開催スケジュール、開催方式のデータを入力します。その後、各クラブへのアンケート結果に基づく試合会場の確保状況や個別の試合要望のデータをシステム上で設定し、SV.CardPlanner に取り込みます。ただ制約条件が増えるほど、条件間の矛盾も生じやすく、解が出ない、つまり試合日程が成立しないケースが増えてしまいます。
竹内 :端的な例が、シーズン開閉幕時の会場です。原則として開閉幕カードはホームとアウェーが交互になるように組みますが、ホーム会場の多くは自治体の公共施設です。他団体のイベントがあれば会場を押さえられず、ホームゲームを開催できません。その場合は、あえて例外を認めることで試合日程を組むようにしています。
酒向 亮 :NSSOL 技術本部 システム研究開発センターの酒向 亮です(写真4)。大同生命SVリーグは、1クラブ22節44試合と試合数が多く、考え得る対戦カードの組み合わせの数も、男子は10の約70乗、女子は10の約100乗と膨大です。さまざまな制約条件を全て満たそうとすると解が出ない場合もあり、その際は試合日程の、どの部分で、どの条件のために解が出ないかを特定する必要があります。
この点を踏まえSV.CardPlannerでは、条件を満たす解が存在しない場合は、矛盾する条件を特定し通知する機能を用意しました。解が出ない原因になっている条件を計算し、どの条件を調整すれば解が求められるのかを提示します。ただ、システムでは、どの条件を調整すればよいかを特定するにとどめ、実際にどの条件を調整するかは、クラブと直接交渉する担当者が決める仕組みにしています。
野村 :制約条件を緩めることで解、つまり試合日程を導き出せるのですが、それで終わりではありません。条件の中にも優先順位の高低もあれば、同一チームとの対戦間隔は、できる限り長い方が望ましいなど、興行としての面白さなども考慮しなければなりません。それらを勘案しつつ、試合日程の公平性のバランスが最大限に取れるよう、緩める条件を変えながら最終決定に至るまで調整と確認を繰り返していきます。

