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トヨタとJapanTaxi、タクシーの乗車率向上狙いAIによる需要予測をテスト運用中

DIGITAL X 編集部
2018年3月14日

トヨタ自動車と、タクシー配車アプリなどを提供するJapanTaxiは、タクシーの乗車率を高めるためにAI(人工知能)を使った需要予測をテスト運用している。2018年2月から数台のタクシーを対象に始めたもので、今後は対象車両数を増やす。すでに営業成績面で大きな効果を確認できているという。両社と、テスト運用に協力するKDDI、アクセンチュアが2018年3月9日に発表した。

 2018年2月からテスト運用を始めているのは、タクシーの乗務員に向けて、「どこに多くの乗客が待っていそうか」という乗客の需要予測情報を提供する仕組み。トヨタが運用するデータ加工・分析基盤「モビリティサービス・プラットフォーム」にデータを集め、アクセンチュアが開発したAI分析アルゴリズムで分析している(図1)。

図1:AIによるタクシー需要予測を、タクシーに搭載したタブレットで運転手に伝える

 具体的には、JapanTaxiの親会社である日本交通のタクシー車両、数台にタブレット端末を搭載し、AI(人工知能)のよる予測結果を表示する。併せて、周辺のタクシーの空車情報と「乗客を見つけやすい走行ルート」も示す。走行ルートは、営業成績が優秀な乗務員の経験から導き出した。乗務員は、これらの情報を確認し、需要が高そうな場所に直行する。

 需要予測は、東京都内を500m四方のマス目に区切り、人口動態データや気象データなどを加味して、それぞれの区画のタクシー需要を30分単位で算出する。これまでの運用では、東京都内での予測精度は94.1%だったとしている。タブレットを搭載したタクシーの1日当たりの売上高は、前月比で平均20.4%増えた。同時期に、日本交通全体の売上高増加率は平均9.4%だったという。

 AIが分析対象にしているデータは、人口動態データ、気象データ、公共交通機関の運行状況のデータ、大規模施設でのイベントのデータ、タクシーの運行実績データなど。人口動態データはKDDIが提供する。スマートフォンの利用者から許可を得て収集し、個人を特定できないよう加工したデータである。気象データや公共交通機関の運行状況のデータ、大規模施設でのイベントのデータなどはトヨタが収集し提供する。ここに、JapanTaxiが持つタクシーの運行実績データを加える。

 今後は、試験車両を数十台に増やしてテスト運用を続け、2018年度中の実用化を目指す。なお、トヨタとJapanTaxiはタクシー業界向けサービスの開発で提携済みで、トヨタがJapanTaxiに75億円を出資している。JapanTaxiが提供する配車アプリは、全国をカバーし国内最大の利用者数を持つ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタ自動車、JapanTaxi
業種交通
地域愛知県豊田市、東京都千代田区
課題タクシーの需要がある地点にタクシーをなかなか配置できない
解決の仕組みスマートフォンから収集した人口動態データや気象データなどをAIで分析し、需要が高まる地点を予測して運転手に伝える
推進母体/体制トヨタ自動車、JapanTaxi、KDDI、アクセンチュア
活用しているデータ人口動態データ、気象データ、公共交通機関の運行状況のデータ、大規模施設でのイベントのデータ、タクシーの運行実績データなど
採用している製品/サービス/技術タクシードライバー向けタクシー需要予測情報の配信アプリ(JapanTaxi製)、データ加工・分析基盤「モビリティサービス・プラットフォーム」(トヨタ自動車製)、AI分析アルゴリズム(アクセンチュア製)
稼働時期2018年2月から試験導入、2018年度中の実用化を目指す