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ザンビアの地方自治体など、アフリカゾウやサイなどの密猟を防ぐ監視システムを導入へ

DIGITAL X 編集部
2018年5月16日

アフリカ南部に位置するザンビア共和国の自治体は、アフリカゾウなど絶滅危惧種に向けた密猟対策として、公園などの一定区域を監視できるシステムを導入する。密猟者を早期に発見し、ゾウなどの捕獲を未然に防ぐのが狙い。システムを構築する南アのDimension Dataと米シスコシステムズが2018年5月8日に発表した。

 密猟防止システムを導入するのは、ザンビアの、ある公園(非公開)。湖に接しており陸路に加え、ボートを使った水路からの進入が可能な地域である。まず熱探知カメラにより、公園全体を覆う仮想的なバリアを形成する。そのうえで管理室のオペレーターはの入退場ゲートを監視する。

 また監視カメラにより、湖の漁師とボートの動きを監視する。撮影した画像データは公園管理者が分析し、動きのパターンから仮想的なバリアを横切る動きがあるとオペレーターに警告を発する。

 加えて、エリア内にはWi-Fi環境を整備する。警備隊員や警備チームは、携帯する携帯端末を使って、熱感知カメラの映像を見たり密猟者に盗聴されることなく音声で通話したがを可能にする。

 陸路・水路をカバーするのは、アフリカにおける密猟者の調査によれば、4000~6000人が動物保護区内に居住する家庭人であり、漁師も密漁に手を染めているケースが多いことが分かっているからだ。

 今回導入するシステムは、南アフリカのクルーガー国立公園に隣接する民間動物保護区において2015年11月、サイの保護を目的に導入した「コネクテッド・コンサベーション(保護)技術」をベースにしている。この保護区では、システム導入後、サイの密漁件数が96%減少し、2017年には保護区内での密漁はゼロ件になったという。

 世界の動物保護区や公園では毎日、何百人もの事業者やスタッフ、警備員、観光客が出入りしている。ただ、保護区などは遠隔地にあり、基本的なITインフラとアクセス制御しか提供されていない。そのため、これまでは動物の角や皮下にセンサーを取り付け、動物そのものの動きを監視する仕組みを使ってきたが。密猟者の動きがつかめず、警備隊員が到着できるのは、角やが切り取られた後だとしている。

図:ゾウの牙を狙った組織犯罪のレベル(出所:Dimension Data)

 慈善事業の支援団体である米バルカン(米マイクロソフトの共同創設者であるポール・アレン氏が主導)が2016年に実施した調査『グレート・エレファント・センサス(GEC)』によれば、アフリカゾウの頭数は、2007年から2014年にかけて全体の30%に相当する14万4000頭が減少。年間8%の割合で減少し続けており、主に密猟によるものである。

 Dimension Dataとシスコは今後。ザンビアだけでなく、ケニアやモザンビークの公園にも、コネクテッド・コンサベーション技術の導入を進めたい考えである。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ザンビアの公園(名称非公開)など
業種公共
地域ザンビア共和国(ケニア、モザンビークなども計画)
課題保護区や公園内に生息するゾウなど絶滅危惧種を密漁者の手から守りたい
解決の仕組み赤外線カメラで公園の入退場口を、監視カメラで湖上を走るボートと両氏の動きを監視し、密漁者の動きをつかむ
推進母体/体制ザンビアの地方自治体(名称非公開)など、南アDimension Data、米Cisco Systems
活用しているデータ赤外線カメラの画像データ、監視カメラの画像データなど
採用している製品/サービス/技術赤外線カメラ、監視カメラ、無線LAN通信環境、無線LAN対応の携帯機器
稼働時期不明