- UseCase
- 流通・小売り
プラス、災害時に“顧客対応の生命線”になるコンタクトセンターは決して落ちてはいけない
当時、Amazon Connectの日本リージョンへの導入はまだ正式アナウンスがなかった。それでも既存のコールセンターシステムの更新が翌2018年2月に迫っていたため、豪シドニーのリージョンで公開されていたAmazon Connectを使ってシステムを構築することを決断。稼働後、2018年12月に日本リージョンでのサービス開始時にシステムを国内に移した。
開発時の大きな問題は、既存のコンタクトセンターに接続されていたCRMシステムがクライアント/サーバー型だったこと。そのCRMとAmazon Connectを接続できるかが検討課題だった。Amazon Connectのインタフェースを用いてバックグラウンドでCRMに接続するツールを開発して解決した。
デスクトップ環境も「Amazon WorkSpaces」でVDI化
課題はもう1つあった。前述したように同社のコンタクトセンター部員は顧客の問い合わせに応じて複数の実業務を同時にこなす必要がある。山口氏は、「50席あるブースのすべてはデュアルモニター仕様になっており、担当者は顧客の問い合わせに応じて10以上のアプリケーションを同時に使いながら作業する。コンタクトセンター機能だけがAWSによって災害対策ができたとしても、その他の業務アプリが連携していなければ、真のBCPとは言えないのではないか」と考えた。
そこで目を付けたのが、プラスの一部部門で導入されていたAWSの仮想デスクトップ機能「Amazon WorkSpaces」だ。部員はまずWorkSpacesにログインし、そこからコールセンターやすべての業務機能にアクセスすることで、操作性の統一と災害対策を両立した。
その際、使用していたPCではスペックが足りなくなり、急きょ、全ブースの端末をゼロクライアントに変更するというハプニングもあった。これでプラスとしてのこだわりを保ったままコンタクトセンターのクラウド化が実現した。
導入後のチェックでも、音声の遅延も要求仕様内に完全に収まっており、コンタクトセンター業務の効率化や安定性が増した。加えて、顧客から「以前より通話品質が良くなった」と評価する声が届くなど、嬉しい副産物もあった。
Amazon Connectの導入を知った他社の担当者からは「ベンダーロックの状態でもいいのですか」と質問されることがあるという。山口氏は「たとえばDRだけでも、シドニーに置いたバックアップデータから即座に復旧できるなど、AWS単体でも柔軟性が相当に高い。であれば、わざわざ高いお金を使って別システムを作る必要性を感じない。むしろ現状が合理的」と答えている。
プラス ジョインテックスカンパニーのコンタクトセンターは、クラウド化によって災害耐性を高められた。今後は「攻めるCRM」としての機能を高めるために、CRMのWeb化や音声データ分析などを検討している。
企業/組織名 | プラス ジョインテックスカンパニー |
業種 | 流通・小売り |
地域 | 東京都千代田区 |
課題 | “攻めのCRM”を支えるコールセンターを決して止めないためにDR(災害復旧機能)を強化したい |
解決の仕組み | クラウド型サービスを採用し安価にDRを実現する |
推進母体/体制 | プラス ジョインテックスカンパニー |
活用しているデータ | コンタクトセンターでの顧客との応対録など |
採用している製品/サービス/技術 | コールセンターサービス「Amazon Connect」、仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」(いずれもAWS製)など |
稼働時期 | 2018年2月 |