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大成建設、割岩から土砂掘削、積み込みまで複数建機が連携する仕組みを実証

DIGITAL X 編集部
2019年6月28日

大成建設は、油圧ショベルとダンプを連携し、割岩から土砂ピットの掘削、積み込みまで、一連の作業を自動化するための実証試験を実施した。複数の建機を連携することで、建設現場での無人での施工技術の確立を目指す。油圧ショベルなどのメーカーである米キャタピラー日本法人とともに2019年4月26日に発表した。

 大成建設が実験したのは、建設現場の土木工事における作業の自動化と、複数の建機を連携して作業させる仕組み。各種建機の自動運転化と、それらを連携した現場作業の実現を目指す。

 実験は2段階に分けて実施した。第1段階では、割岩作業を自律制御できる建機を使って実施した(写真1)。電子制御が可能な油圧ショベル「Cat 320」(米キャタピラー日本法人製)を使用した。

写真1:自律制御による割岩作業の様子

 大成建設が開発した遠隔操作と自律制御が可能な自律割岩システムをCat 320に実装し、2018年6月に作動をテストした。Cat 320本体を改造することなく割岩作業を実施し、直径1.5m級の大型岩石の割岩作業でも90%以上の精度で自律作業ができることが確認できた。

 第2段階では、自律制御による土砂ピットの掘削とダンプへの積み込み作業を実証した(写真2)。

写真2:自律制御の油圧ショベルとダンプが連携した土砂の掘削・積み込み作業の様子

 今回の実証に向けて大成建設は、2018年7月から自動化アルゴリズムの構築に着手。熟練工の運転技術をデータ化した。Cat 320を含む複数の建機との連携においてはまず、Cat 320単独による土砂掘削・積み込み作業の自動化が可能なことを確認。油圧ショベルカーと有人ダンプトラックによる連携作業も実証で確認した。

 実験に使ったCat 320は、ネットワーク規格「CAN(Controller Area Network)」による制御に対応した油圧ショベル。CANは、自動車や建設機械、産業用ロボットなどの機械において、各種システムやセンサーを接続するための規格である。

 Cat 320は標準で、半自動施工が可能な「2Dマシンコントロール」機能や積載量の計測機能を持つ。2Dマシンコントロールは、建設機械のブーム(腕)やバケットをコントロールし、オペレーターの運転操作を支援する。積載量の計測では、バケット内の積載重量とトラック積載量をモニター画面にリアルタイムに表示する。

 大成建設は今後、これら技術の検証を実証試験や実際の建設現場で継続し、各種建設機械の自動化と自動連携の実現を図る。将来的にはAI(人工知能)の活用を視野に入れた技術開発を進め、各種建設機械による無人化施工技術の確立を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大成建設
業種製造
地域東京都新宿区(本社)
課題熟練者に頼ってきた土木作業において、労働人口が減少しても高精度な作業を実施したい
解決の仕組み熟練工の運転技術をデータ化したり自動化アルゴリズムを開発することで、自律動作させた油圧ショベルやダンプを連携させ、割岩から土砂掘削、積み込みまで一連の作業を自動化する
推進母体/体制大成建設、米キャタピラー日本法人
活用しているデータ熟練工の運転技術を表現したデータなど
採用している製品/サービス/技術電子制御が可能な油圧ショベル「Cat 320」(米キャタピラー日本法人製)、自律割岩システム(大成建設が開発)、土砂掘削・積み込み作業の自動化アルゴリズム(同)など
稼働時期2018年6月以降