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コマツ、保守部品のサプライチェーンをクラウドベースの「NPS(New Parts System)」に全面刷新へ

水野 智之(X-Techライター)
2019年8月16日

モノと金の流れをリアルタイムに可視化

 ところでコマツがグローバルに採用するInfor Nexusとは、どのようなクラウドサービスなのか。

 Infor Nexusは、Inforが2015年夏に買収した「GT Nexus」をベースにするSaaS(Software as a Service)型のクラウドサービス。メーカーやサプライヤー、金融機関などが利用対象で、複数の関連企業間でのモノの動きと金の流れを可視化する(図1)。メーカーなどにサービス利用料を従量型で課金し、サプライヤーには課金しない。すでに6万5000社が利用しているという。

図1:Infor Nexusは情報の可視化と統合を担う

 Inforのアジア太平洋地域Infor Nexus担当バイス・プレジデントのキャス・ブレンジェンス氏は、「物流業界において過去20年に渡って管理してきたデータに基づき新しいインサイトを提供できる。物流上の遅延や課題を把握し、サプライチェーンに与える影響を予測しながら、それらに対する迅速な対応を可能にし、適切な意思決定を支援する」と説明する(写真2)。

写真2:Inforアジア太平洋地域Infor Nexus担当バイス・プレジデントのキャス・ブレンジェンス氏(右)とインフォアジャパン副社長執行役員 営業本部長の三浦 信哉 氏

 加えてIoTデータや天候のパターンなどを機械学習で学習することで、「パーツの到着予定日をリアルタイムに予測できるようになる」(ブレンジェンス氏)としている。

 インフォアジャパン副社長執行役員 営業本部長の三浦 信哉 氏は、「カスタマイズなしに業務をクラウドサービスに合わせることは、日本では抵抗がまだ大きい。コマツの場合、サプライヤーを訪問する際は当社も同行し説明している。Infor Nexusを利用すれば他メーカーなどともつながるため新たなエコシステムが形成される」とInfor Nexusのメリットを強調する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名コマツ(小松製作所)
業種製造
地域世界84拠点
課題保守部品(パーツ)の事業規模が拡大するなかで、グローバルに情報共有が図れず到着時間や物流コストの把握が難しかった
解決の仕組みグローバルなサプライチェーン情報を一元管理するプラットフォームを導入し、モノと金の流れを可視化する
推進母体/体制コマツ、米Infor
活用しているデータサプライチェーンの関連データ、IoTデータなど
採用している製品/サービス/技術サプライチェーン情報を一元管理するためのSaaS「Infor Nexus」(米Infor製)