• UseCase
  • 製造

出光興産、製油所のサイバーセキュリティ強化でIndustry 4.0推奨の通信規格「OPC-UA」を採用

DIGITAL X 編集部
2019年8月26日

出光興産(トレードネーム:出光昭和シェル)は、精油所のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)対応の一環として、サーバーセキュリティを強化するためにIndustry 4.0が推奨する通信規格「OPC-UA(OPC-Unified Architecture)」を採用した。重要インフラを狙ったサイバー攻撃の脅威に備える。2019年8月13日に発表した。

 出光興産は、製油所の効率化と競争力の強化を図るため、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)対応を強化している。2019年からは、配管の腐食をAI(人工知能)で診断する仕組みの実証実験にも取り組んでいる。

 IoT対応の推進で課題になるが、重要インフラを狙うサイバー攻撃への対策だ。たとえばウクライナでは2015年と2016年に、発電所を狙ったサイバー攻撃が原因と考えられる大規模停電が発生している。

 今回、出光興産は、北海道製油所、千葉事業所、愛知製油所、徳山事業所の4つの事業所において、装置や制御システムの稼働率・温度・圧力といった情報を格納しているデータベースに対する、ほぼすべての通信規格に「OPC-UA(OPC-Unified Architecture)」を採用した。

 OPC-UAは、独政府が進める製造業の高度化プロジェクトである「Industry 4.0」が推奨している唯一の通信規格。通信時に通信相手ごとに通信ポートを指定することで、不要な通信経路を狙った外部からの不正アクセスを防ぐ。暗号化や認証、監査の仕組みも備えており、セキュリティの強度を高めている(図1)。

図1:出光興産が採用した「OPC-UA(OPC-Unified Architecture)」の仕組みによるサイバーセキュリティへの効果(下)

 OPC-UAの採用により、セキュリティ強度を高めながら、製造現場の制御システムとITシステム間のインタフェースが統一でき、より高度な生産体制の構築が可能になるとしている。出光興産によれば、複数の製油所・事業所を対象に大規模な生産システムの主要な通信方式をOPC-UAで構築するのは、これが世界初になる。

 同社は2008年から、リアルタイム操業マネジメントシステム「XHQ(neXt generation HeadQuarter)」を構築。装置の稼働状況などを管理するために複数ベンダーが構築したシステムを接続し、製油所全体をマネジメントできるようにしてきた。

 ただ、これまでの通信規格である「OPC-Classic」では、通信時に通信ポートをランダムに割り当てるため、実際には不要な通信ポートが設定され、そこを狙うサイバー攻撃への危険性が増していた。

 同社は今後も、IoT技術を使って製油所の効率化や競争力強化に取り組む考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名出光興産
業種製造
地域北海道苫小牧市(北海道製油所)、千葉県市原市(千葉事業所)、愛知県知多市(愛知製油所)、山口県周南市(徳山事業所)
課題製油所の効率化と競争力の強化を図るためIoT(Internet of Things:モノのインターネット)対応を進めているが、一方でサイバーセキュリティの脅威も増している
解決の仕組み独政府のプロジェクト「Industry 4.0」が唯一推奨する通信規格「OPC-UA(OPC-Unified Architecture)」を採用する
推進母体/体制出光興産
活用しているデータ装置や制御システムの稼働率・温度・圧力といった情報
採用している製品/サービス/技術「OPC-UA(OPC-Unified Architecture)」