• UseCase
  • 製造

アシックス、“Direct To Consumer”に向けてマスターデータを全世界で統合へ

水野 智之(X-Techライター)
2019年9月24日

マスターデータ統合の開発拠点をオランダに設置

 プロジェクトに先立ち要件を洗い出し重要事項を決定した。最初に変更したのが「マスターデータのオーナーシップをIT部門から業務部門へ映した」(富永氏)こと。それに伴い、マスターデータを管理するMDM(Master Data Management)システムをグローバルに整備する。

 MDMの開発拠点は、「開発要員などを確保しやすいオランダに置き、神戸本社はMDMのガバナンスは担当する役割分担にした」(富永氏)。マスターデータ管理のためのコストを下げながらも、しっかりとした管理ができる体制を築くためである。

 MDMシステムの構築においては、関係する各種システムのオーナーとの連携も密に取った。それでも「すぐには合意形成に至らなかいケースもある。そうしたときは“あるべき姿”を示し、調整を進めた」と富永氏は明かす。

 本プロジェクトでは、並行してシステムの内製化にも取り組んでいる。富永氏は、「多少は失敗しても良いので、挑戦を続ける文化を醸成していきたい」と力を込める。

オペレーション上の人的ミスの軽減を期待

 今回のマスターデータ統合では、米インフォマティカ製のMDM製品を採用している。同製品を採用した理由の1つとして富永氏は、「さまざまなシステムのつなぎ役になるだけに、あらゆるシステムとの接続が担保されていること」を挙げる(写真3)。それにより「運用・保守の効率向上が期待でき、KPI(重要業績評価指標)監視も可能になる」(同)とみる。

写真3:アシックスがインフォマティカ製品を選んだ理由

 また各リージョンでのマスター管理が自動化できることで「課題だったオペレーションにおける人的ミスが低減でき、要員育成にもつながる」(富永氏)ことや「適切なサポートにより導入後への安心感がある」(同)という。

 現在は、リージョン間で成功事例を共有するという工夫もしながらプロジェクトを推進している。2019年年末の完了を目指している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名アシックス
業種製造
地域神戸市(本社)
課題グローバル展開が進む中で、これまでリージョンごとに個別最適化してきたシステムが、ブランド統一や出荷の遅れにつながっていた
解決の仕組みマスターデータのオーナーシップをIT部門から現業部門に移し、現場で運用ができるようにMDM(Master Data Management)システムを導入する
推進母体/体制神戸本社がMDMのガバナンスを担い、オランダ拠点で開発する
活用しているデータマスターデータ
採用している製品/サービス/技術MDMツール(米インフォマティカ製)
稼働時期2019年末予定