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病院運営の巨樹の会など、臨床データに基づくリハビリプログラム品質向上の実証実験

DIGITAL X 編集部
2019年10月1日

病院を運営する巨樹の会と東京巨樹の会は、リハビリテーションプログラムの品質を臨床データに基づいて高めるための実証実験に2019年7月30日から取り組んでいる。患者1人ひとりに合わせた治療計画立案やカウンセリングの実現が目的だ。実験に参加するビーグルなどが同日に発表した。

 病院を運営する巨樹の会と東京巨樹の会が2019年7月30日に始めたのは、臨床データを使ってリハビリテーションプログラムの品質を高めるための実証実験。過去3年にわたるリハビリテーションの臨床データを安全に保管したり、別環境へ移したデータを匿名化した上で分析したりする(図1)。AI(人工知能)による予測などにも取り組む。

図1:臨床データを匿名化して分析し患者1人ひとりに合ったリハビリ計画の立案やカウンセリングに応用する

 臨床データ収集システムを使って、医療スタッフのニーズを聞き取るほか、病院内の電子カルテシステムとの連携も図る。

 巨樹の会と東京巨樹の会では、病気やケガを治療し症状が安定に向かっている時期である「回復期」のリハビリテーションを重視している。機能回復や日常生活に必要な動作の改善を図るため、患者1人ひとりに合わせたプログラムを用意し、医師や看護師など各分野の医療スタッフが共同でリハビリテーションサービスを提供しているが、データ分析により、その合致度や品質を高めることを目指す。

 実験には、病院向けシステムなどを手がけるビーグルのほか、NTTコミュニケーションズとITサービス会社のウルシステムズが参加する。

 ビーグルは、臨床データ収集システム「beagle medica」を提供し、臨床データのデータモニタリングを可能にする。

 NTTコムは、同社のクラウドサービス「Enterprise Cloud」上で、過去のリハビリテーションの臨床データを安全に保管・分析するための、匿名化機能とデータ分析機能を提供する。

 匿名化にはNTTテクノクロスが開発した匿名加工情報作成ソフトウェアを採用。分析機能は、米Googleが提供するコンテナ技術「Anthos」を使い、閉域ネットワークで結んだ物理的に分散した環境で実行できるようにした。

 ウルシステムズは、臨床データの分析システムをEnterprise Cloud上に構築したほか、分析計画の立案や分析実務業務全般を担う。

 今後は実証実験の結果を踏まえて、データに基づくリハビリテーションプログラムを本格的に展開する。センサーデータや退院後のヘルスケアデータなども収集することでデータの分析精度を高め、リハビリテーションサービスの拡充を目指す。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名巨樹の会、東京巨樹の会
業種医療・健康
地域佐賀県武雄市(巨樹の会・本部)、東京都品川区(東京巨樹の会・本部)
課題患者1人ひとりに合わせたリハビリテーションプログラムを提供し患者の回復を促したい
解決の仕組み臨床データをクラウド上に保管し、匿名化した上で分析できるようにする
推進母体/体制巨樹の会、東京巨樹の会、NTTコミュニケーションズ、ビーグル、ウルシステムズ
活用しているデータ過去3年のリハビリテーションの臨床データ、電子カルテなど
採用している製品/サービス/技術臨床データ収集システム「beagle medica」(ビーグル製)、クラウドサービス「Enterprise Cloud」(NTT Com製)、匿名加工情報作成ソフトウェア(NTTテクノクロス製)、データ分析システム(ウルシステムズが構築)など
稼働時期2019年7月30日に実証実験を開始