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第一生命保険、新サービスの開発力向上に向け基幹システムをハイブリッドクラウド環境に

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年7月13日

第一生命保険は、複雑化していた基幹システムのハイブリッドクラウド環境への移行を進めている。顧客情報はオンプレミスで管理しつつ、データ分析などの機能をクラウド上に構築し、新サービスの開発や運用効率化に生かす計画だ。ITビジネスプロセス企画部 フェローの太田 俊規 氏がプロジェクトの概要について、2020年6月30日に開催された日本マイクロソフトの記者発表で説明した。

 「オンプレミスとクラウドのベストミックスを実現する。ホスト、自社所有のオープン系システム、そしてクラウドから、業務特性に応じて最適なツールの組み合わせを選択できるようになる」ーー。第一生命ホールデイングス ITビジネスプロセス企画ユニット/第一生命ITビジネスプロセス企画部 フェローの太田 俊規 氏は、同社のハイブリッドクラウド戦略を、こう語る。

写真1:第一生命ホールデイングス ITビジネスプロセス企画ユニット/第一生命保険 ITビジネスプロセス企画部フェロー 太田 俊規 氏

 第一生命保険が基幹システムをハイブリッドクラウド環境に移行し始めたのは2019年のこと。保険会社としての顧客管理、契約管理などはオンプレミスに残しつつ、外部連携機能やデータ分析などの機能はクラウド上に構築することで、新たなサービスの実現力向上や運用の効率化を目指す。

 2019年度は運用管理機能やアプリ基盤を用意し、パイロット版のアプリを稼働させた。2020年度は、新たに7つのシステムを米Microsoftのクラウド「Microsoft Azure」に追加していく予定だ(図1)。

図1:第一生命保険がハイブリッドクラウド環境で構築する基幹システムの全体像

Azureを「情報の本拠地」に据える

 第一生命保険の情報システムは、ホストコンピューターを中心とした構成になっている。従来は、ホストを中心に構築したオープンシステムを、エンタープライズサービスバス(ESB)を介して、ホストアプリケーションと統合してきた。今後はこれらをハイブリッドクラウド環境に構築する(図2)。

図2:第一生命保険のプラットフォーム戦略の変遷

 クラウド活用では、「データを最適な場所で処理する一方で、データの本拠地(ホームグラウンド)を定め、そこに一括して格納するモデルを構築した」(太田氏)。データを1カ所に集めることで、利用面だけでなく、セキュリティやガバナンスの観点からも管理を容易にするためだ。「外部でデータを処理した結果も、必ずホームグラウンドに戻すことをコンセプトにしている」(同)という。