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長谷工コーポレーション、タイルの打診検査にMRを使うシステムを本格導入

岡崎 勝己(ITジャーナリスト)
2020年7月27日

 検査終了後は、システムが入力データを自動で集計し、映像データと組み合わせた報告書を作成する(図3)。点検データは最終的には点検図面と紐づけてクラウド上に保管する。

図3:報告書作成に必要な各種集計や作図、写真添付などの作業の自動化した

 長谷工コーポレーションがHoloLens 2を採用した理由は、現場でデバイス単体で動作し他のデバイスとの接続などが不要なことと、リアルな建物とCGを重ね合わせ際の表示精度の高さなだという。

データを蓄積し差分分析で変化を可視化

 AR匠RESIDENCEは、アウトソーシングテクノロジーと日本マイクロソフトと共同で開発した。長谷工グループが企画・開発から実証、効果測定を担当。アウトソーシングテクノロジーは企画とアプリケーション開発を、日本マイクロソフトは開発・運用における技術支援を、それぞれ担当した(写真1)。

写真1:左上から時計回りに、長谷工コーポレーション 取締役常務執行役員 楢岡 祥之 氏、アウトソーシングテクノロジー 代表取締役社長 茂手木 雅樹 氏、日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 ワークスタイル変革推進担当役員 手島 主税 氏

 長谷工コーポレーションは今後、AR匠RESIDENCEの打診検査以外の用途として、新築工事での検査などにも早期に展開したい考えだ。そのために操作性を高めるほか、データによる新たな価値創出を視野に入れる。

 楢岡氏は「検査データを長期にわたり蓄積すれば、差分分析により劣化状況の可視化などが実現できる。業務効率化や安全確保だけでなく、管理会社に分かりやすい説明ができるなど新たな目標を設定して活用を進めたい」と語る。

 また3者はAR匠RESIDENCEを打診検査だけでなく、建築・不動産業界に向けた生産性向上策として拡販もする。アウトソーシングテクノロジーの代表取締役社長である茂手木 雅樹 氏は、「道路管理会社と実施した道路劣化検査において生産性の改善効果が確認できている」と話す。

 日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 ワークスタイル変革推進担当役員の手島 主税 氏は、「MRはコミュニケーションの質と量の改善に役立つ。新型コロナで現地に行くことが難しくなる中、遠隔からの作業員支援という点も含めてシステムの進化を後押ししたい」と語る。

 販売を担当するアウトソーシングテクノロジーは2020内中にAR匠RESIDENCEの受注とトライアル運用に乗り出す。他業種への応用を視野にいれながらも、「まずは国内のマンション点検市場での2割以上の採用を目指す」(茂手木氏)としている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名長谷工コーポレーション
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題建築基準法により10年ごとの実施が義務付けられている外壁タイルの打診検査において、顧客ニーズが高まる一方で熟練者が不足し実施負荷が集る一方である
解決の仕組みMR(Mixed Reality:複合現実)型スマートグラスを使い、検査時に必要な現場図面を現地で表示したり検査結果をジェスチャー操作で記録し報告書までを自動で作成する
推進母体/体制長谷工グループアウトソーシングテクノロジー、日本マイクロソフト
活用しているデータ検査対象の建物の3D図面、打診検査データ、検査時の映像データ
採用している製品/サービス/技術スマートグラス「HoloLens 2」(マイクロソフト製)
稼働時期2020年7月(長谷工リフォームの関東圏での利用開始時期、順次全国に展開するほか、外販もする)