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大阪市が5Gオープンラボをソフトバンクとの連携で開設、行政主体の運用目指す
ラボを通じて企業魂に火を着ける
5G(第5世代移動通信システム)をテーマにしたオープンラボは各携帯通信キャリアが展開している。関西圏でも、NTTドコモが「ドコモ5Gオープンラボ OSAKA」を18年9月に開設、KDDIは「KDDI DIGITAL GATE大阪」を19年9月に開設している。ソフトバンクは東京に「5G x IoT Studio お台場ラボ」を持ち、5G X LAB OSAKAは2つめのオープンラボになる。
そうした中で、自治体が運営主体になるラボは、5G X LAB OSAKAが全国初である。5Gラボを行政が支援する理由について、大阪市経済戦略局長の柏木 陸照 氏は、こう説明する。
「行政のビジネス支援は融資保証をはじめ、労働力のマッチングやハローワークなどが中心で、技術革新に対する支援が欠けていた。新しい技術を体験し、チャレンジできるラボを通じて企業魂に火を着けたい。対象は大阪だけでなく他の都道府県からの参加も可能だ。民間や企業からの協力を得ながら、ハイブリッドに中小企業を支援する全国初のモデルケースにしたい」(写真4)
加えて、「箱を作るだけなら、どこでもできる。だが本ラボでは、新しい技術を可変的に取り入れ、コンテンツも早ければ3カ月程度で入れ替えるなど、置きっぱなしにしない」と柏木氏は強調する。
大阪産業局プロジェクトリーダーの松出 晶子 氏は、ラボの名称にある「5Gx」について、「トランスフォーメーションという意味も含まれている」と説明する(写真5)。「TEQSでは、マッチングパートナーの探索や経営相談など、ビジネスにつながる開発支援で実績がある。大企業と中小企業、ベンチャーをつなぐ新たなオープンイノベーションの場にすることも目指したい」(松出氏)考えだ。
ちなみにTEQSは、インキュベーション施設をベースに、サウンドスタジオやプレゼンルーム、3D(3次元)プリンターやレーザーカッターなどがあるテジタル工房や、関連資料が閲覧できるライブラリーなどが併設されている。入居するATCの建物を利用した実証実験も可能になっている。
2025年の大阪・関西万博で世界に向けた発信を
現時点での運用目標は、来場者数を年間で2000人、3年間で新しい事業を15社が立ち上げることである。施設の公開前に開かれた内覧会では、大阪市長の松井 一郎 氏がラボへの期待を動画メッセージで次のように述べている。
「5G技術は、交通、医療、防災など、さまざまな方面にイノベーションをもたらし、新しい価値観やデジタル化を加速させ、社会を“がらり”と変える力がある。中小企業やスタートアップにとってはビジネスチャンスであり、ぜひチャレンジしてほしい。未来社会の実験場というコンセプトを掲げる2025年の大阪・関西万博で、世界に向けて発信できる成果が生まれることを期待している」
連携協定を結ぶソフトバンク常務執行役員の藤長 国浩 氏は、「5G技術を活用して技術やビジネスをアップデートさせる方法を考えたい。ラボを通じて、さまざまな技術を結集し、ビジネスや地域の課題解決にもつなげてほしい」とコメントした(写真6)。
民間と行政によるハイブリッドな支援が先進的なビジネスを生み出す場としてどのような相乗効果を発揮するのか。これからの動きにも注目したい。
企業/組織名 | 大阪市 |
業種 | 公共 |
地域 | 大阪市 |
課題 | 中小企業の支援策として技術革新の視点が欠けていた |
解決の仕組み | 5G(第5世代移動通信システム)を用いたビジネス創出をサポートするための拠点をキャリアとwの連携協定で設置し、行政中心に運営する |
推進母体/体制 | 大阪市、AIDOR(アイドル)共同体(公益財団法人大阪産業局と一般社団法人i-RooBO Network Forum)、ソフトバンク |
採用している製品/サービス/技術 | 5G、AR/VR/MR |
稼働時期 | 2020年10月1日 |