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大阪市が5Gオープンラボをソフトバンクとの連携で開設、行政主体の運用目指す

野々下 裕子(ITジャーナリスト)
2020年10月12日

大阪市が、5G(第5世代移動通信システム)を用いたビジネス創出をサポートするための新拠点「5G X LAB OSAKA(5Gクロスラボ・オオサカ)」を2020年10月1日にオープンさせた。ソフトバンクとの連携協定によるもので、施設は大阪市が設置するビジネスサポート拠点内に置き運営も担当する。5Gがテーマのオープンラボは各キャリアが展開しているが、行政中心の展開は全国で初のケースになる。

 2020年10月1日、大阪南港にある大型複合施設であるアジア太平洋トレードセンター(ATC)のITM棟内に「5G X LAB OSAKA(5Gクロスラボ・オオサカ)」がオープンした(写真1)。現在、完全予約制で見学を受け付けており、利用の問い合わせもオンラインで受け付けている。

写真1:5G X LAB OSAKAの入口

5Gを活用する製品/サービスの検証が無償で可能

 新設した5G X LAB OSAKAの施設は、「検証ラボ」と「展示・体験ルーム」で構成される。検証ラボは5Gの通信環境が利用できる実験施設。5Gを活用した製品やサービスの検証などが無償で実施できる。

 通信環境として、検証ラボ内に試験用の4Gと5Gの基地局を設置した。持ち込んだ端末やコンテンツの動作などを検証するためのシールドテントが設けられている(写真2)。設備のメンテナンスや専門的な技術支援については、ソフトバンクのスタッフがサポートする。

写真2:端末やコンテンツの動作が検証できるシールドテントが設置されている。

 展示・体験ルームには、製造、建設、放送・エンタメなど20を超える業種別の活用事例や実際に導入されている機器などが展示されている。完全予約制で約60分のデモが体験できる。

 コンテンツには、デバイスを通じて空間に映像を表示するAR(拡張現実)やスポーツ中継を見ながら応援できるVR(仮想現実)、Microsoft製HoloLens を利用したMR(複合現実)なども用意する(写真3)。ラボが開設される大阪市のビジネスサポート拠点で支援する企業が開発するロボットのデモなどもある。

写真3:VR、AR、MRを利用したコンテンツが複数体験できる。

 他にもセミナーを開いたり、技術サポート、販路開拓などソフト面からも支援する。スタートアップがビジネスを紹介する場としても活用する。

 5G X LAB OSAKAは、大阪市が2020年7月16日にソフトバンクと締結した、5G関連ビジネスの創出に関する連携協定に基づき開設した。同協定には、公益財団法人大阪産業局と一般社団法人i-RooBO Network Forumによって構成される「AIDOR(アイドル)共同体」が参加する。

 5G X LAB OSAKAの場所は、AIDOR共同体が大阪市からの委託で運営する先端技術を活用したビジネスサポート拠点「ソフト産業プラザTEQS(以下、TEQS)」の施設を利用しており、TEQSのスタッフが中心に運営する。