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青森市、ヘルステックを核とした健康まちづくりをフィリップスと推進

野々下 裕子(ITジャーナリスト)
2020年11月25日

見守りサービスはすでに実証実験を開始

 一方のIoTを活用したMy守りサービスでは、IoT(モノのインターネット)のセンシング技術を使って収集する、さまざまな生活データを使って、独居高齢者や在宅患者を遠隔から24時間見守る(図2)。2019年2月の協定締結時から実証実験を開始しており、これまでに得たデータの分析結果を健康サービスにフィードバックすることも進める。

図2:IoTを活用したみまもりサービスのイメージ

 センサーとしては、フロアーに凸版印刷のIoT床材「ロケーションフロア」を使う。圧力で自家発電し、押されている位置の情報をクラウド経由で送信できるため遠隔から部屋のどこに住民がいるかがわかる。配電盤には小型の電力センサー(エナジーゲートウェイ製)を設置し、家全体の電気の使われ方を細かく分析することで生活の状態を把握する。

 見守りサービスの拠点となる「あおもりヘルステックセンター」は、在宅療養支援病院として2021年5月にリニューアル予定の新・浪岡病院の敷地内に設置する(図3)。担当看護師を現地採用するほか、コンタクトセンターの設置や、サービス提供で収集した各種データを解析する。

図3:活動拠点として開設されるあおもりヘルステックセンターのイメージ

 遠隔での見守り看護やオンライン診療は、ワーコンが手掛ける。同社は、非接触型で生体をセンシングできるドップラーセンサーなどのノウハウを持つという。在宅医療用の対話ロボットも提供する。

 ワーコン代表取締役の青木 比登美 氏は「誰もが自宅で医療が受けられる時代の実現を目指している。コンソーシアムへの参加は、その第1歩だ。地域の看護師や参画企業と一緒に、心の通う検診を提供したい」と語る。

 見守りサービスの導入と保守といったオペレーションは、地元企業のコセキが担当する。

地域企業を中心にコンソーシアム参加企業を募集

 コンソーシアムへの参加企業は今後も、地域企業を中心に募集を続ける(図4)。

図4:あおもりヘルステックコンソーシアムの2020年10月時点の参加企業

 青森発の2つのサービスが地域市民の行動変容にどれだけつながるのか。2021年からの本格的な運用開始に注目したい。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名青森市
業種公共
地域青森市
課題深刻な高齢化と、医療施設や医療従事者が不足し医療費が肥大するなかで、地域市民の健康寿命を延伸できる事業を確立したい
解決の仕組み「モビリティを活用した予防サービス」と「IoTを活用したMy守り(みまもり)サービス」をテーマに、MaaSやIoTといったデジタルテクノロジーを使った健康関連サービスを運用するための基盤を構築する
推進母体/体制青森市、あおもりヘルステックコンソーシアム
活用しているデータ個人の健康関連データ、IoTデバイスや電力量計などで取得した高齢者宅などの居住状況を示すデータなど
採用している製品/サービス/技術MaaS、野菜接収量測定技術、IoT、在宅医療用対話ロボット、サービス実行基盤など
稼働時期2021年4月(ヘルスケアMaaSのサービス開始予定時期)、2021年5月(あおもりヘルステックセンターの開設予定時期)