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神戸市がCEATECでニューノーマル時代の企業誘致、“進取の気風”の国際都市に暮らし自治体課題の解決を

野々下 裕子(ITジャーナリスト)
2020年10月16日

神戸市が「CEATEC 2020 ONLINE(シーテック 2020 オンライン)」の「ニューノーマルテーマエリア」へ出展する。スタートアップをはじめとした企業誘致が目的だ。山と海の豊かな自然に恵まれた環境を実証実験の場とするプロジェクトのほか、米シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)と連携した起業家育成プログラムなども紹介する。国際都市のイメージも強い神戸市が出展にかける意気込みを、同市 企画調整局 医療・新産業本部 新産業部企業立地課 企業誘致担当課長の河端 陽子 氏に聞いた。(文中敬称略)

−−「CEATEC 2020 ONLINE」の「ニューノーマルテーマエリア」に神戸市ブース(10月20日より公開)を出展します。その狙いは何でしょう。

 神戸市 企画調整局 医療・新産業本部 新産業部企業立地課 企業誘致担当課長の河端 陽子です(写真1)。私の所属からも分かるように、今回の出展の目的は企業誘致です。

写真1:神戸市 企画調整局 医療・新産業本部 新産業部企業立地課 企業誘致担当課長の河端 陽子 氏

 自治体の企業誘致というと、これまでは工場や本社移転など大規模なものが中心でしたが、デジタル化が進む昨今は、自治体の課題やビジネスの内容なども大きく変わってきています。

 神戸市は1995年の阪神淡路大震災からの復興も進み、近年は市内経済の活性化と雇用創出を目的に企業誘致に力を入れています。誘致の対象にしているのは、ベンチャー企業から中堅・中小企業、大手など幅広く、海外の企業も対象です。

CEATECの企画プログラムにも協力

 自治体の中では早くからITや最先端テクノロジーでイノベーションを起こす起業家支援策に取り組んできました。事業をいち早く立ち上げられるよう、賃貸料や人件費のサポートなどの進出支援制度や、市内を実証実験の場として提供するといったプロジェクトを設けています(図1)。

図1:神戸市による進出支援策の例

 CEATEC 2020 ONLINEでは、神戸市のビジネス環境と合わせて、これらの誘致企業への優遇制度、IT企業やスタートアップなどに向けた、さまざまな支援事業などを紹介します。

 今回、CEATECの新企画の1つ「ニューノーマル時代のデジタルまちづくり」においては、自治体が抱える課題の提供にも協力しています。『六甲山における企業誘致』『六甲山への交通アクセス改善』といったテーマに対し、事業者からの提案を募集するものです。課題だけでなく、実験フィールドの提供や実証実験の支援も行います。

 CEATEC 2020はオンライン開催なので、これまで私たちが出会ってきた企業の層を超えて、海外を含めた、より幅広く多くの企業との出会いを期待しています。進出先としての神戸市の存在をアピールしたいと考えています。