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NECプラットフォームズ、ロボットやAGVの本格導入に向け甲府事業所にローカル5G環境を構築

DIGITAL X 編集部
2021年4月22日

通信機器などを製造するNECプラットフォームズは、製造現場のリモート化や自動化への取り組みを本格化する。それに向け甲府事業所にローカル5G(第5世代移動通信システム)環境を構築し、ピッキングロボットの遠隔操作などの実証実験を実施した。同事業所での本格導入のほか、国内外の工場にローカル5G環境を構築しリモート化・自動化による生産性向上を図る。NECとともに2021年4月5日に発表した。

 NECプラットフォームズは、NECグループにあって、通信機器などを製造する会社。国内外の工場における生産効率を高めるために、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)のリアルタイム制御や、センサーデータや映像データの利用に取り組んでいく。そのためにローカル5G(第5世代移動通信システム)の導入を進める計画だ。

 そのためのローカル5G環境を山梨県の甲府事業所に構築し、実証実験を実施した。ピッキングロボットの遠隔操作と、映像・音声を共有しての遠隔作業支援について、その有効性を検証した。

 ピッキングロボの遠隔操作では、部品のピッキング作業において、ロボットアームとカメラを取り付けた移動体を遠隔操作した(図1)。カメラ映像を5Gで伝送することで1人が遠隔から2台のロボットを制御し、8種の部品をピッキングした。映像表示とロボット操作における遅延時間を検証した結果、目標遅延時間の0.2秒以下を達成したという。

図1:ピッキングロボット(左)とローカル5Gを使った遠隔操作の実証実験の様子

 映像・音声の共有による遠隔作業支援では、現場作業者はスマートグラスを着用し、支援者や熟練者が遠隔から作業内容をリアルタイムに指示した(図2)。5Gを使うことでデータ量が大きい映像の通信の安定化が図れ、遠隔指示によりラインの停止時間と手戻り作業を削減できたとしている。

図2:ローカル5Gを使った遠隔作業支援の実証実験の様子

 フルHD映像と4K映像のそれぞれについて、遠隔作業支援の効率を比較・評価した結果では、4K映像のほうが支援時間を平均20%短縮できたという。

 NECプラットフォームズは今後、甲府事業所のロボットに関しては、多数のロボットの接続やAGVとの連携を図り、2022年度までに生産ラインへの本格導入を目指す。並行して4K/8Kなどの高精細映像の共有やAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を使ったコミュニケーションを実現していく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名NECプラットフォームズ
業種製造
地域山梨県甲府市(甲府事業所)
課題製造現場の生産性を高めたい
解決の仕組みローカル5G環境を構築し、多数のピッキングロボットの遠隔制御や、高精細画像を使った現場作業者への遠隔支援を実現する
推進母体/体制NECプラットフォームズ、NEC
活用しているデータピッキング対象の部品の映像、スマートグラスを通じた映像・音声など
採用している製品/サービス/技術ローカル5G