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三井化学、資源のリサイクルを可能にするトレーサビリティ基盤をブロックチェーン技術を使って構築へ

DIGITAL X 編集部
2021年5月11日

三井化学は、資源のリサイクルに向けた循環プラットフォームの構築に向けた検討を日本IBMと共に開始した。トレーサビリティを担保する仕組みをブロックチェーン技術を使って構築し、プラスチック素材のリサイクルを支援する。2021年4月26日に発表した。

 三井化学が構築するのは、資源リサイクルにおけるトレーサビリティを担保するための資源循環プラットフォーム(図1)。モノマーやポリマーなどの原材料から、製品としての製造・販売・使用、さらに、製品の回収から解体・破砕によるリサイクル原料化、それを使った製品への再利用までの循環サイクルを管理する。

図1:ブロックチェーン技術を活用したプラスチック資源循環プラットフォーム

 加えて、リサイクル原料の製造や検査の工程、物性や品質の情報を可視化することで、プラスチック素材の円滑な流通支援を目指す。

 プラットフォームの構築には、日本IBMと共同で取り組む。トレーサビリティの実現にはブロックチェーン技術を使用することでサプライチェーンの透明化を図る。資源循環に関わるステークホルダー各社は、中立性と公平性を担保しながら取引や監査業務の効率化、ペーパーレスといったメリットを享受できるとしている。

 実証実験に臨むに当たり両社は、クラウドと既存システムを連携させたハイブリッドクラウド環境の使用を検討する。具体的には、IBMのパブリッククラウド「IBM Cloud」上で、ブロックチェーン環境の「IBM Blockchain Platform」を利用する予定である。AI(人工知能)技術の利用も検討する。

 プラスチック素材については現在、世界的に需要が拡大する一方で廃プラスチック問題が顕在化している。リサイクルは1つの解決策だが、リサイクル原料の使用を促すには、含有物質を明確にするなどトレーサビリティを担保する仕組みの構築が課題になっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三井化学
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題プラスチック資源のリサイクルを促すためには含有物質を明確にするなどトレーサビリティの担保が必要になる
解決の仕組みプラスチック資源の循環プラットフォームをブロックチェーン技術を使って構築する
推進母体/体制三井化学、日本IBM
活用しているデータプラスティックの原材料から製品、さらにリサイクル原料になって再利用されるまでの資源リサイクルにおいて発生する情報、リサイクル原料の製造・検査工程などで発生する物性情報や品質情報など
採用している製品/サービス/技術ブロックチェーン技術「IBM Blockchain Platform」、パブリッククラウド「IBM Cloud」(いずれもIBM製)
稼働時期2021年4月26日(協業開始の発表日)