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半導体材料のレゾナック、プラントの異常を検知し運転員に解消策を知らせるシステムを稼働

DIGITAL X 編集部
2024年8月2日

半導体・電子材料メーカーのレゾナックは、同社の大分コンビナート(大分市)において、プラントの異常発生を検知し、その解決に必要な情報を運転員に提示するシステムを2024年5月、本格稼働させた。熟練者の知見やノウハウをデータ化し、一元管理することでプラントの安全操業につなげる。システムは日立製作所と開発した。2024年7月29日に発表した。

 半導体材料メーカーのレゾナックが構築したのは、プラントの異常を検知し、その解決に必要な情報を運転員に提示するシステム。熟練作業員が持つプラント操業の経験やノウハウをデータ化し一元管理することで、解決に向けた判断材料を提示し、プラントの安全操業につなげるのが目的だ。同社が大分市に持つ大分コンビナートにおいて、石油化学製品の基礎原料であるエチレンのプラント運転業務に適用する(写真1)。検証を経て2024年5月に本格運用を開始した。

写真1:安全操業のためのシステムを稼働させたレゾナックの大分コンビナート

 新システムでは、熟練作業員が持つプラント操業の経験やノウハウをデータ化した。プラントや機器の異常をAI(人工知能)技術で検知する仕組みと連携し、検知した異常の解決に必要な過去のトラブル情報や業務要領、マニュアルなどの関連情報を現場の運転員に自動的に表示する。運転員が情報を検索する従来の方法に比べ、半分の時間で同じ情報を取得できるようになったとしている。

図1:レゾナックが構築したプラントの安全操業のためのシステムの概要。熟練者のノウハウをデータ基盤「WIGARES」(日立製作所製)で一元管理する

 データ化した経験やノウハウの管理システムは、製造業向けデータ管理基盤「WIGARES(ウィガレス)」(日立製作所製)を使って構築した。異常検知には、約3000の異常予兆に対応する「ARTiMo(アルティモ)」(同)を利用する。

 今後は、プラント操業の高度化に向けた情報の共有や分析を進め、予測不可能なイベントへの対応力を強化し、事業競争力を持続的に強化していきたい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名レゾナック
業種製造
地域大分市(大分コンビナート)
課題プラントを安全に操業するための運転員の能力を維持・向上させたい
解決の仕組み熟練運転員の経験やノウハウをデータ化し、プラントの異常検知システムと連携を図ることで、解決に必要な情報を運転員に自動的に表示する
推進母体/体制レゾナック、日立製作所
活用しているデータ熟練運転員の知見やノウハウ、過去のトラブル情報、マニュアルなど
採用している製品/サービス/技術情報管理基盤「WIGARES」、異常予兆検知システム「ARTiMo」(いずれも日立製作所製)
稼働時期2024年5月(大分コンビナートでの本格運用開始時期)