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アマダ、設計から製造、サービスまでのBOMを一元管理する新生産管理システムを稼働

DIGITAL X 編集部
2024年11月8日

金属加工機械のアマダが新しい生産管理システムを稼働させた。設計から製造、サービスまでのBOM(Bill of Materials:部品表)を一元管理することで、顧客ニーズに応じた加工機械の生産能力を高めると同時に、保守サービスにつなげる。現場の生産方式や情報共有の仕組みも刷新している。2024年9月28日に発表した。

 金属加工機械メーカーのアマダはこのほど、新しい生産管理システム「APEX(AMADA Production Environment Transformation)」を開発し、基幹工場の富士宮事業所(静岡県富士宮市)で稼働させた。設計BOM(Bill of Materials:部品表)に製造BOMとサービスBOMを連携し一元管理するのが特徴で、多様化する顧客ニーズに対応できるよう生産能力を高めるとともに、保守サービス事業を強化するのが目的だ。

 併せて、生産方式として「ブースライン方式」を導入する。工程を1日単位に細分化し各工程を専門の作業者が担当することで、ファイバーレーザーマシンのリードタイムを削減する。作業習熟度の向上が期待でき、リードタイムの約20%短縮を見込んでいる。

 従来は主に「ブースチーム方式」を採用していた。治工具を備えたブースに、組み立て、調整、出荷準備の各チームが順番に作業する方式だ。だが機械の多機能化により製品ごとに仕様やリードタイムの違いが大きくなり、仕様や生産計画の確認・修正・管理などに多くの工数がかかるほか、作業の手待ちが発生したりチーム編成に多くの工数がかかったりしていた。

 APEXでは、各種BOMの一元管理により、設計情報に基づいて製造手配を実行したり、シリアルナンバーをキーに製造BOMから顧客がオーダーした仕様別の保守用3D(3次元)パーツリストを生成したりする。

 シリアルナンバーによって製造、品質、販売の各情報を集約する「シリアルポータル」も構築した。現場作業者はタブレット端末などを使って生産仕様書を確認したり、管理部門と製造・品質情報を共有したりする。

 取引先との連携を強化するための情報共有サイト「アマダサプライヤーポータルサイト」も開設する。アマダが作成した生産計画や発注、在庫、技術、品質、価格の各情報を共有し、それぞれが手配情報の修正や納期の確認ができるようにする。生産計画や進捗状況については、取引先が導入しているアマダ製の生産管理ソフトウェアとの連携も図る。

 アマダはこれまで、自社開発した統合生産情報システム「AM-HIT’s」を利用し、組み立て工程や加工日程を自動で作成。その計画を生産管理システム「ATS」(アマダ製)に投入し、MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)システムでの生産計画立案や、BOMを参照した部品手配表の作成に利用してきた。

 だが「中期経営計画2025」において、グローバルでの製造改革により海外への供給体制の強化と、日本・欧州・北米の製造拠点の強化を進めている。今回のAPEX開発は、その一環である。

 今後もDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを継続し、富士宮事業所での取り組みを国内外の工場へ水平展開していく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名アマダ
業種製造
地域富士宮事業所(静岡県富士宮市)
課題海外への供給体制の強化と、日本・欧州・北米の製造拠点の強化に向けて、製造現場の間接業務負担を軽減し、顧客ニーズの多様化に対応したい
解決の仕組み設計から製造、サービスまでのBOMを一元管理する生産管理システムを開発し、製品のシリアルナンバーをキーに、仕様や品質などの情報を製造現場や取引先とも共有できるようにする
推進母体/体制アマダ
活用しているデータ生産計画、発注や在庫、技術、品質、価格などの各種情報
採用している製品/サービス/技術生産管理システム「APEX」(アマダ製)
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