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明治安田生命、全社での生成AI活用視野に営業職3万6000人が使うAIエージェントを導入
データ基盤や人材の開発でアクセンチュアと組み約5年間で300億円を投資
全社への導入を推進する全社横断組織としての「デジタルイノベーションHub」も立ち上げた。まずは100人体制にし、2025年4月から本格的に活動を開始する。永島氏は、「経営戦略上の重要テーマごとにチームを組成し、実装に向けた検討・開発とメンバーの育成を進めている」と話す。DX推進や業務プロセス変革を担うリーダーとして「コア人材300人を養成する計画」(同)だ。
明治安田生命が生成AIに期待するのは、BPR(Business Process Engineering)を進め「役職員を人ならではの価値を生み出す業務へシフトさせることを目指している」(永島氏)からだ。「事業運営を大きく変革するために不足している専門人材をかき集めるのではなく、全ての職員をこれからの時代で勝ち抜ける人材に変えていく。そこでは先端技術をあらゆる領域に取り入れることが不可欠」(同)との考えだ。
一方で永島氏は「生成AIの本格導入には先端技術が抱えるリスクと、進化・変化への対応に加え、人材の課題も実感している」と吐露する。「急激な変化に対し柔軟かつ機動的に対応していくには、現在の当社の知見やリソースだけでは十分ではない」(同)からだ。そのためアクセンチュアと包括的パートナーシップ契約を結んだ。2030年3月までの約5年間で300億円を投資する計画である。
パートナーとなるアクセンチュアの執行役員 データ&AIグループ日本統括 兼 AIセンター長の保科 学世 氏は、「保険業界は生成AIのインパクトが特に大きい分野だ。AIによる業務の自動化の潜在的可能性は3割、業務を強化する潜在的可能性は4割に達する。つまり保険業界の業務の7割が、生成AIによって変化する可能性があることを示唆している」と話す。
そこでは「保険会社が保有するデータに加え、外部の企業や団体が保有するヘルスケアデータを活用すれば、高度なヘルスケアエコシステムを構築できる可能性がある」(保科氏)とする。永島氏も「顧客データを中長期的な視点で分析し健康リスクの予測などにもつなげ、健康増進や地域活性化の領域でも存在感を高めていきたい」と大きく期待する。
企業/組織名 | 明治安田生命保険 |
業種 | 金融・保険 |
地域 | 東京都千代田区(本社) |
課題 | 2024年からの中期経営計画2期で掲げるテーマ「生命保険の役割を超える」の実行に向け(1)ひと中心経営の推進と働きがいの向上と(2)IT・デジタル投資のさらなる推進に力を入れたい |
解決の仕組み | 生成AI技術を全社に導入し業務改革を図る。そのための全社横断組織を立ち上げ推進する。第1弾として営業担当者が使用するAIエージェントを導入し営業活動の質を高める |
推進母体/体制 | 明治安田生命保険、アクセンチュア |
活用しているデータ | 営業支援においては、顧客の年齢や、趣味・嗜好、過去の契約履歴、地域特性など |
採用している製品/サービス/技術 | 営業担当者向けAIエージェント「MYパレット」(自社開発) |
稼働時期 | 2024年10月(MYパレットの運用開始時期) |